Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

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知る人ぞ知るフランスの画家マルケ!彼のグレーが冴える風景の美が35年ぶりに私たちを魅了する@SOMPO美術館 12月13日まで

フランス近代絵画の展覧会で、たまに目にすることがあって気になっていたのが、アルベール・マルケの絵です。大抵がフランスの風景で、落ち着いた色彩とシンプルで優しい筆遣いに好感を抱いていました。「もっと知りたい!」と思っていたのですが、ほとんどの場合、マルケの作品の展示は数えるほど。なので、「控えめながらチャーミングな風景画を描く人」というふわっとした記憶以上のイメージを膨らませることができないでいました。 
そこへついに嬉しいチャンス到来!初期から晩年までのマルケの名品約100点が展示される「アルベール・マルケ展」が新宿へ 巡回してきたのです。場所はSOMPO美術館。実に、日本国内では35年ぶりとなる本格的な個展なのです。

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初めてのマルケづくしの展覧会!ということで、まずは一気に通しで鑑賞。そして感じたことは、ここは「グレー(灰色)の楽園」だということ。マルケ独自の何種類もの「グレー」が、叙情豊かで美しい情景を生み出していました。
ここからは、マルケのえもいわれぬグレーに惹きつけられた数多くの作品の中から何点かを ピックアップしてご紹介していきます。 
【曇りを描くマルケ・グレー】
まずは曇りのパリ。マルケは、曇りの情景をたくさん描いていました。しかし、どんより重苦しいのではなく、クリーミーで優しいヴェールに包まれているような感じです。

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《冬、ルーヴル河岸》1906年 油彩、カンヴァス 60x81cm パリ、個人蔵
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《グラン=ゾーギュスタン河岸》 1905-06年頃油彩、カンヴァス 60x 73cm ル・アーヴル、アンドレ・マルロー近代美術館

これらの曇りの情景では、そこに見える色全てに少しずつグレーがブレンドしてあるように感じました。川の水色にも、船荷の赤にも、木の緑にも。それらがマルケ・グレーを纏って新種のグレーになり、周囲と調和してスモーキーな画面が生まれる。このグレースモーキーな心地よさに、私はいつしかやみつきになっていました。 
前出の2作品は寒色系でしたが、暖色系もなかなか乙です。
雨上がりに少しずつ陽光が戻り始めた様子でしょうか。

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《サン=ミシェル橋、パリの洪水》 1910年 油彩、カンヴァス 64.8x 81 cm パリ、個人蔵(協力:パリ、ギャルリー・ド・ラ・プレジダンス)

うっすら明るくなり始めた空の色に混ざったグレー、洪水で黄土色になった川の色に混ざったグレーなど絶妙です。川だけはグレーがかっていながらも鏡面のように輝いて周囲との質感の違いを際立たせているところにもマルケの技を感じました。

【曇った海のグレーがまたいい!】
そして、海辺の風景もカラっとした快晴ではなく、 もくもくとした雲がたっぷり描かれているところがマルケらしい。 いかにもバカンスですといった感じの鮮やかな海のターコイズブルーもいいけれど、グレーイッシュなマルケのターコイズブルーもシックで落ち着くなと思いました。

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《レ・サーブル・ドロンヌ》 1921年 油彩、カンヴァス 60.5x73cm 国立西洋美術館、松方コレクション
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《ル・ピラの浜辺(アルカション湾の帆船)》1935年 油彩、カンヴァス 50x61cm パリ、個人蔵(協力:パリ、ギャルリー・ド・ラ・プレジダンス)

【快晴の絵も優美なグレー調】
また、「さすがマルケ」と感銘を受けたのが、快晴の情景であってもグレーのヴェールをまとわせているところです。タイトルに「快晴」と入っていますし、影がしっかり描かれているので明らかに晴れているのですが、ふんわりとスモーキー。川の水色、建物の屋根のピンク、陽光を繰り返す地面のオレンジ色が、マルケ・グレーを帯びてパステル調の和音を奏でていてうっとりしました。

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《ルーアン、ボワエルデュー橋とパリ河岸、快晴》 1912年 油彩、カンヴァス 63x80cm パリ、個人蔵(協力:パリ、ギャルリー・ド・ラ・プレジダンス)

そして、マルケ・グレーの真骨頂を感じたのが、雪景色の数々です。雪けぶるパリの風景をその空気感とともに描き出すことができるのはマルケしかいないと思ってしまったほど!例えば、レオス・カラックス監督のフランス映画「ポンヌフの恋人」の舞台になったことでも有名なポンヌフ橋の雪景色を描いた作品はこちら。

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《ポン=ヌフとサマリテーヌ》 1940年 油彩、カンヴァス 65 × 81 cm ひろしま美術館

このような雪の日の空は、マルケのグレーがしっくりくる。遠くに見えるサマリテーヌ百貨店の半円形のファサードもグレーのグラデーションを見せながら浮かび上がっていておしゃれ。余談ですが、映画「ポンヌフの恋人」のワンシーンも雪景色だった。。。雪が似合う街なのかもしれない。

同じくパリのコンティ河岸の雪景色はこんな感じ。灰色を帯びた茜色の空と、灰色帯びた川の水色のコントラストに純白の雪がアクセントとして輝き、キリッとした空気を感じる。凛とした気分になりました。

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《雪のコンティ河岸》 1947年 油彩、カンヴァス 60x73cm ボルドー美術館

このまたとない機会に、マルケの粋なグレーを浴びに出かけてみてはいかがでしょうか!

【展覧会 基本情報】
「開館50周年記念 アルベール・マルケ展」
会期 2026年9月22日~12月13日
会場 SOMPO美術館
開館時間 10:00~18:00(金は〜20:00)※入場は閉館の30分前まで
休館日 月(ただし10月12日、11月23日は開館)
観覧料 一般 2000円 など
URL https://www.sompo-museum.org/exhibitions/2025/albertmarquet/

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菊池麻衣子 
【現代版アートサロン・パトロンプロジェクト代表、アートライター、美術コレクター】
東京大学卒:社会学専攻。 イギリスウォーリック大学大学院にてアートマネジメントを学ぶ。ギャラリー勤務、大手化粧品会社広報室を経て2014年にパトロンプロジェクトを設立。

【月刊誌連載】2019年から《月刊美術》「菊池麻衣子のワンデイアートトリップ」連載、《国際商業》アートビジネスコーナー連載
 資格:PRSJ認定PRプランナー
同時代のアーティスト達と私達が展覧会やお食事会、飲み会などを通して親しく交流する現代版アートサロンを主催しています。 美術館やギャラリーなどで「お洒落にデート!」も提唱しています。

パトロンプロジェクトHP:  http://patronproject.jimdo.com/
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菊池麻衣子Twitter: @cocomademoII

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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