Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのステッキ入門

「銘木へのこだわり」

「ステッキと杖の違いとその魅力」「オーダーステッキの魅力」2回に渡って“東京新木場”に店を構える「La Cappo」をお伝えして来ました。

 

現在、村山氏は東京銘木協同組合の理事をされていて、銘木の知識は右に出る者がいないと言っても過言ではないかと思います。

 

銘木・名木の違いに始まり銘木の定義をインターネットで調べると浅学な私などは訳がわからなくなる状態に陥ちいてしまいます。

そこで村山氏に尋ねると

 

「銘木は世界中にある樹木・竹等のジャンル(杢目・柾目・樹齢・歴史的貴重性)等全ての部分を超越した物が銘木と呼ばれる」

 

との答えが返ってきました。更にその中でも木の生き様、材の持つ物語が貴重と解きます。

 

ステッキに当てはめると、木の種類は聞いた事があっても、その木がどこの銘木でどの部分が当てはまるのか?素人に選別する事は無理と言います。すでにステッキを持っている方でも買われる時に説明なり木の来歴等物語を聞いていない事が多いと思います。

 

村山氏はこの事が残念でたまらないと言います。

どの国の輸入品だとか、銀のハンドルだからとか、価格が幾らしたとか、ここから買い求める事が多く失敗の始まりと重ねて言い放します。

だから、素材選びから、素材が持つ“生き様”物語までも実際聞き手に取ることをおすすめします。

私なども取材を通して色々と説明を受けると不思議とステッキを持つ自信が付く事に気付かされます。

 

ステッキ材の最高峰は、よく百貨店に陳列されてその値段にビックリさせられますスネークウッドだと私も思っていたのですが、村山氏の口から出た材は日本産の黒柿だと聞かされビックリしました。

 

村山氏の説明をここでお伝えします。

 

スネークウッドはその蛇柄から好き・嫌いが極端に出る材で女性にはあまり好まれません。また、欧米の体格の良い方には向きますが、小柄な日本人には重さから適さない感じを受けます。材(原木)は、小径木が多く、あっても直径30〜40cm。この木の難点は細い丸太が故に干し割れや芯割れが多いところ、ステッキになるまで乾燥期間を長く必要とし無傷無欠点の完成品は少なく、多くの場合、何かしらの補修品が多いと聞きました。

 

無傷・無欠点の完品が少ないため、この点だけ取り上げればもちろん価値はあります。しかしこの木はどの木を製材しても蛇柄模様があり杢目の貴重性はありません。

 

 

 

そして黒柿についてですが。

 

 

秋に実のなる柿は皆さんよくご存知だと思います。

全ての柿の木を切っても、黒柿と呼ばれる杢目に当たるのは300~500本に1本の確率です。

 

 

ほとんどの場合、白一色のが多く、黒柿の中でも孔雀杢・網目杢などに出会う確率は更に増します。

 

また、ステッキの素材に仕立てるのに乾燥に20年を要し、多くの場合、乾燥中に材が割れてしまうケースが多く、完品にするまでの技術・木取りを含めると村山氏は最高難度品と言い切ります。

 

スネークウッドと黒柿、どちらが貴重性があるか、もう皆さんはお分かりですね。村山氏のステッキ店では、1樹・1本ずつ比較し理由づけされた世界の銘木をある意味コレクションとしてストックしてあります。

 

現在、1973年100カ国以上の国に批准されたワシントン条約があり、ブラジリアンローズウッドを始め絶滅危惧種の保護下にありますし、今年に入ってからも世界150種のローズウッド科目の内、100種が伐採禁止・輸出禁止とされています。

 

村山氏の倉庫には条約以前に、日本に輸入された世界の銘木のお宝がストックされています。

 

私は取材を通じて感じた事が多くあります。

興味を持たれた方は、ぜひLa Cappoに行ってみてください。村山氏のユーモアを交えた銘木談義を聞くだけでも価値がありますよ。

私は、ステッキ素材の奥深さ、今までにないステッキ店の有様の一片をわかった気がします。


La Cappo
東京都江東区新木場2-9-6

 お洒落で楽しく快適、健康で闊歩し続ける心持ちを願い、創られたステッキブランド ” La Cappo “(ラカッポ)。
江戸時代から300年続く ” 木の文化の町 ” 深川木場で日本を始め世界各地から選び抜かれた貴重な銘木を素材に、木を知り尽くした職人の手で、丁寧に造り上げたステッキが木の魂宿る「木魂の杖」。
永きに亘って木に携わってきた経験を生かし、とりわけ挽き肌の色彩と杢目の美しさが際った素材だけを吟味して、一本一本こだわりを持って製作している。

http://lacappo.jp

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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