Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのエンターテイメント

久しぶりにきらびやかなオペラです。「ドン・ジョヴァンニ」新国立劇場

世界で活躍する豪華な歌手陣が、海外から5人も来日してくれました。美しい舞台、凝った衣裳、ようやく楽しめるオペラ復活です。とはいっても、ドン・ジョヴァンニという人物は女性を誘惑し放題の悪い奴。内心、むっとしながらも舞台に引き込まれます。最後は因果応報で恐ろしい場面となりますが、そこにいたるまではコメディタッチで、気楽に楽しめます。何と言っても、モーツアルトですから。

撮影:堀田力丸 提供:新国立劇場

すべての女性を虜にし、女性を籠絡するのが生きがいのドン・ジョヴァンニ。彼を演じるのが、イタリアの名歌手バス・バリトンのシモーネ・アルベルギーニ。彼にとっても最も得意とする役のひとつで、100回以上歌っているとか。まろやかで豊かな声を響かせながら、ゆうゆうと登場します。演技も素晴らしく本物のプレイボーイに見えます(笑)。彼自身演じることが好きだと語っていました。新国立劇場デビューです。

撮影:堀田力丸 提供:新国立劇場

この人がいてこの物語がイキイキすると思わせる従者レポレッロ役にモーツアルトやバロックで活躍するレナート・ドルチーニ。ご主人様に振り回されます。彼もデビュー。

ドンナ・アンナ役に、ソプラノ、ミルト・パパタナッシュ。アンナのお父さんを殺してしまうところから物語は始まります。殺人を犯してしまったのにジョヴァンニは、まったく動じません。

ドンナ・アンナの婚約者、ドン・オッターヴィオ役には、多彩なレパートリーで活躍中のレオナルド・コルテッラッツィ。スマートな婚約者です。新国立劇場デビュー。アンナを愛し、復讐を誓います。

撮影:堀田力丸 提供:新国立劇場

ジョヴァンニの昔の女、ドンナ・エルヴィーラ役(上の写真赤いドレス)に、英国ロイヤル・オペラ・ハウスなどで引っ張りだこの世界的スターメゾ、セレーナ・マルフィ。こちらも新国立劇場デビュー。悪い奴だとわかっていながら、恋心が捨てられません。そういうことって、ありますよねぇ。

今、最も輝くスターたちが集合しました。

また、村の農夫と娘の新郎新婦役の近藤圭と石橋栄実も、まったく引けを取りませんでした。

 

誰が見ても十分満足できる舞台演出は、グリシャ・アサガロフ。新国立劇場の舞台は2004年から手掛けています。今回は、主人公を18世紀に実在したカサノヴァになぞらえ舞台をヴェネツィアにしました。ドン・ジョヴァンニはゴンドラにのって登場するので、観客はすぐにヴェネツィアだとわかります。

撮影:堀田力丸 提供:新国立劇場

アサガロフは、美術・衣装のルイジ・ペーレゴと共に、カサノヴァの時代である18世紀末にすべてを合わせたと語っています。舞台も衣裳も必見。洋服に合わせたジョヴァンニの紫の靴、素敵ですよ。1枚目と2枚目の写真を、じっくりご覧ください。

そして、指揮は、イタリアオペラの名匠パオロ・オルミが12年ぶりに新国立劇場に再登場しました。

すべてに完璧なこの演目ですが、ごめんなさい。あと1回公演を残すのみです。

 

「ドン・ジョヴァンニ」2022年12月6日(火)~13日(火)新国立劇場オペラパレス

HP: ドン・ジョヴァンニ | 新国立劇場 オペラ (jac.go.jp)

*2022年12月12日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます。

 

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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