Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのエンターテイメント

サントリー美術館「四百年遠忌記念特別展 大名茶人 織田有楽斎(うらくさい)」2024年1月31日~3月24日

織田信長の13歳年下の弟織田有楽斎は、武人であり茶人であり、信長、秀吉、家康に仕えた人物です。本能寺の変の時、信長の長男と共にいたにもかかわらず、脱出したということから「逃げの有楽」というイメージがあると語るのは京都・臨済宗大本山建仁寺塔頭 正伝永源院の真神啓仁住職です。

記者会見では、そのイメージを、四百年遠忌に当たり「払しょくしたい」と話されました。「有楽斎は、戦国の世をしなやかに生き抜いた勇気ある武将であり、茶人でした。生涯を通じて茶の湯を愛し、人脈を築き交流しました」。晩年、有楽斎は当院を再興して終の住処とし、建てた茶室「如庵」は、現在国宝に指定されています。今回、この正伝永源院の寺宝を中心に展示されています。

茶人・有楽斎が集めた美しい茶道具が並びます。かつて所持した、あるいは茶会で使われた茶道具の名品から、彼の美意識に触れることができます。有楽流のお点前は、比較的シンプルで柔らかいのだとか。お客様をおもてなしすることを本位とし、創意工夫をしてもてなすという茶会のようです。

唐物文琳茶入 銘「玉垣」南宋時代(遠山記念館蔵)

足利義政に仕えた能阿弥が最初に所持し、その後、堺の豪商などを経て有楽斎の所有となりました。豊臣家に献上されましたが、大坂夏の陣で落城と共に割れ、欠片となるも漆で修復されました。そして徳川家康に献上され、頼宣所有となり、秀綱へ献上されて江戸城の蔵に入ることになります。昭和になるまで徳川将軍家に伝来し、昭和29年に美術史家の團伊能が買い取った後、遠山元一の所有となりました。

「有楽斎手造茶碗」桃山~江戸時代(正伝永源院蔵)

茶碗のみならず、茶尺、茶入などをつくり、茶会で使っていたことが知られています。あたたかみのある姿です。

烏図真形釜 銘「濡烏」室町時代(東京国立博物館蔵)

有楽斎所持の伝来があり、内箱蓋表の墨書は有楽斎の筆と伝わっています。また、内箱の貼印から益田鈍翁が所持していたこともわかります。

プレス内覧会の様子

見事なのは、狩野山楽の襖絵「蓮鷺図襖」江戸時代(正伝永源院蔵)

金地を背景に緑青鮮やかな蓮の葉の茂みと、白い花、空には鷺や燕が飛び交っています。蕾だった蓮の花が満開となり、散りかけていく季節の移ろいが見られます。

お釜もお茶尺もお茶入れも、どのお道具もため息が出るほど美しく、改めて茶道の素晴らしさを感じます。茶道を嗜まれたことがある方は、必見でしょう。お時間のある方は、ゆっくり書状などをご覧いただくと、その人となりをうかがい知ることができるでしょう。有楽町や数寄屋橋という地名は、家康から拝領した有楽斎屋敷にちなんでその名前がついたという説があるそうですが、真偽のほどはわかりません。

「四百年遠忌記念特別展 大名茶人 織田有楽斎(うらくさい)」サントリー美術館 2024年1月31日~3月24日(会期中展示替えあり) HP:四百年遠忌記念特別展 大名茶人 織田有楽斎 サントリー美術館 (suntory.co.jp)

*2024年2月4日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます。

 

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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