Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのエンターテイメント

刺激的なプログラムでした。東京フィル井上道義マエストロ

東京フィルの定期演奏会、どの曲も濃いんです。井上道義マエストロが選んだこの3曲。

写真=寺司正彦

1曲目はエルガー 序曲『南国にて』。ヴィオラのソロが美しく、印象に残ります。ここでいう南国はイタリアのこと。エルガーの国、イギリスから見ると南にあるイタリアに家族とともに滞在した時の、高揚した気持ちが伝わってきます。

提供=東京フィルハーモニー交響楽団

2曲目は日本初演のギリシャ人作曲家クセナキスのピアノ協奏曲第3番『ケクロプス』

建築家で数学家で音楽家のクセナキスは、今までに聞いたことのない音の並びを提示します。ピアノソロは大井浩明。クセナキス本人から絶賛されたピアニストです。私も予習して、「わかろうと思うのはやめよう」と決めて聴いたので、素直に音が飛び込んできました。

そして、3曲目は井上道義マエストロと言えばショスタコーヴィチ。ロシア人のショスタコーヴィチの「交響曲第1番」です。いまのこの世界情勢の中で、何をどうとらえればいいのか。戸惑います。最後にマエストロが伝えてくれたメッセージは、何百万人もの命を失っていく戦争、彼の地に想いを寄せようと語りかけます。

世界中が、これほど心を痛めているのに、戦争しないでほしい、傷つけないでほしいと願っているのに、いったいなぜ戦争をするのか。思うだけで気が遠くになります。

最後にマエストロは、観客に楽しい気分で帰ってもらおうとシュトラウスの「南国のばら」をアンコールで届けてくれました。「みなさんも踊ってもいいですよ」と、エレガントに体を動かしながら華やかに楽しい音楽です。

以前、日比谷公会堂のステージで、演奏が始まる前のトークショーでマエストロにショスタコーヴィチについて、インタビューさせていただいたことがあります。そのときも、マエストロのエネルギーには圧倒されました。2024年12月末に引退されるそうですが、井上マエストロしか作り出せない稀有な井上ワールドを思う存分味合わせていただきたい。情熱的で、ちょっぴりおちゃめな井上マエストロの世界です。

提供=東京フィルハーモニー交響楽団

*2022年3月1日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます。

東京フィルハーモニー交響楽団:https://www.tpo.or.jp/

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

https://cross-over.sakura.ne.jp/

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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