Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのエンターテイメント

現代アートの巨匠ウィリアム・ケントリッジプロダクションのオペラ『魔笛』

新国立劇場のオペラ『魔笛』は南アフリカ出身の現代美術家ウィリアム・ケントリッジのプロダクションだ。ウィリアム・ケントリッジは、素描をコマ撮りにした「動くドローイング」と』呼ばれる手描きのアニメーション作品で知られるアーティストである。と同時に、オペラ演出でも世界的評価が高くMETやザルツブルク音楽祭などでも活躍し、2010年には京都賞、2020年には世界文化賞を受賞している。

撮影:寺司正彦 提供:新国立劇場

ブリュッセルのベルギー王立歌劇場(モネ美術館)から、モーツアルトの『魔笛』の演出をケントリッジが委託されたのが1998年。初演は2005年。彼の最初の大規模なオペラ演出である。

舞台は、ドローイングを用いてプロジェクションとして取り入れ、今まで見たことがない斬新で奥行きのある広がりを生み出す。プロジェクションの映像は、木炭やパステルで描いたドローイングを動かしたもの。さらにその映像をプロジェクションし、舞台に投影する。そこでも物語が展開するのでしっかり目に焼き付けたい。プロジェクションは、登場人物が見たり考えたりしていることを表している。アートが、出演者の脳裏を雄弁に語るのだ。

撮影:寺司正彦 提供:新国立劇場

大野和士が新国立劇場のオペラ芸術監督に就任した2018・2019シーズンに新制作した最初の演目が、この『魔笛』だった。大野監督が以前働いていたモネ劇場で初演され、世界の劇場で大ヒットしている作品で、舞台装置と衣装を上演権も含めて新国立劇場が購入した。

黒は夜の女王、白は太陽の王ザラストロ。夜の女王の場面は、黒い背景にドローイングの白い点描が星空のように見える。

撮影:寺司正彦 提供:新国立劇場

叡智の館で黒板に書く方程式の様なものは何なのか、象やサイを狩る場面は何を見せたいのか、ドローイングで登場する様々な象徴は何を表わしているのか、そこに美しいだけではない哲学的な深さがある。

指揮は、新国立劇場デビューのオレグ・カエタ―ニ。

この作品で楽しみなのは、夜の女王の超絶技巧のコロラトゥーラ「復讐の炎は地獄のようにわが心に燃え」。そして「おいらは鳥刺し」「パ・パ・パ」は待ってましたの名曲だ。

撮影:寺司正彦 提供:新国立劇場

子供や初心者はもちろん、生粋のオペラファンも独創的なプロダクションを体験できる。

また、オープンデッキでは、アルコールの提供も始めたので、陽気の良い日は外に出てグラスを楽しみながら風に吹かれたい。ただし、寝てしまわないように(笑)

 

新国立劇場オペラ「魔笛」 4月16日から4月24日約3時間 詳細はコチラhttps://www.nntt.jac.go.jp/opera/die-zauberflote/

 

*2922年4月19日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます。

 

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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