Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
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紳士のためのエンターテイメント

日本酒の未来 獺祭「最高を超える山田錦プロジェクト2023」

良い米あっての良いお酒です」と力強く語るのは、獺祭で知られる旭酒造の社長桜井一宏さん。良いお酒を作るために良いお米を作ってもらいたいと酒米・山田錦の「最高を超える山田錦プロジェクト」というコンテストを2019年からスタートさせ、今年5回目を迎えました。

会長の桜井博志さんは、獺祭の生産が増えるにつれ山田錦の量が足りなくなったのがコンテストを始めたきっかけだと語ります。全国の農家に最高の山田錦を作ってほしい。日本の農家に希望を持って良い米を作ってほしいとコンテストを行い、グランプリ米に相場1俵2万円ほどの所を1俵50万円(現在は60万円)で50俵を買い取る、総額2500万円(現在は3000万円)のすごい企画です。

毎年しのぎを削って美味しい酒米を作ろうと参加する農家さんたち。今年は過去最高、昨年の倍の144件のエントリーがありました。最終審査に残ったのは6点、そこから準グランプリに選ばれたのは岡山の国定農産グランプリは福岡県のウィング甘木でした。

受賞者は、「みんなの力で作り上げた。今日から新たな一歩を踏み出します」と話していました。

日本の農業の課題」というテーマで開催されたパネルディスカッションには、漫画家の弘兼憲史さん参議院議員中田宏さん山田錦栽培研究所の海老原ファーム創業者の海老原秀正さん、そして旭酒造会長の桜井博志さんが登壇し、いまの日本の農業について議論しました。

櫻井会長の視点は常に前向きです。農業に携わる人たちの平均年齢が68歳だという話に対して、それはチャンスだと。今までの人たちが退場して若い人たちが新しい農業にチャレンジできると、目を輝かせます。やる気と希望がどれほど大事か、これまでの旭酒造の変遷で、肌身に染みてご存じだからでしょう。

海老原氏は、栃木県の高品質野菜ブランドを立ち上げられています。2014年から山田錦の栽培をスタートさせ、1回目のグランプリを獲得しました。現在、栃木県で唯一の組織的生産体制を確立し100キロの種を3haに植えています。

中田参議院議員は、良い日本酒を飲まなければだめだ。良い日本酒を飲んで良い米を作るという循環が大切だ。価値のあるものは高価で当たり前だという概念をもたなければと語ります。

弘兼氏は、マンガ『島耕作』で取材してからのお付き合いだとのこと。世界中を取材して歩き、世界2位の農業生産量を誇るオランダのハウス栽培に活路が見られるのではないか、また日本酒はアルコール度数が高いので、海外で食中酒として受け入れられるためには度数を下げる必要があるのではないかと話されると、桜井会長は、アメリカでは低い度数のものを販売しているとさすが柔軟性のある経営姿勢を披露しました。

この日、いただいたのは「獺祭 未来へ 農家と共に」(720ml 16500円)

優秀な農家が丹精込めて育てても5~10%規格に合わない等外米が出てしまい、それが経営を圧迫しているため生産農家と共に生きていくことを目指して等外米でしかできないお酒をつくることにしました。それが「獺祭 未来へ 農家と共に」です。精米機の限界の8%まで磨きあげるという時間と手間に挑戦しました。二割三分だと23%まで磨くということですから、8%にまでするのはどれほどたいへんでしょう。すっきりした味わいの中にほんのりと甘みが感じられるこのお酒、農家と共に歩んでいくのだという旭酒造の気概を感じます。

 

*2024年1月13日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます。  

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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