Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのエンターテイメント

年末年始はバレエ「くるみ割り人形」

クリスマス時期の催し物として定番のバレエくるみ割り人形」が、日程を拡大して年始にも開催されました。12月18日から年をまたいで1月3日まで、新国立劇場です。年始を「くるみ割り人形」の幸せな世界でスタートできるなんて、一年が良いものになりそうです。会場は小さいお子さん連れの方も多く、満席。一部、カフェやアルコールを提供する場所も開放し、メニューにお汁粉があるのはお正月ならではでしょう。

撮影:長谷川清徳

2017年に初演されたウエイン・イーグリングの振り付けは好評を博し、古典名作の新境地を開いたと言われています。新国立劇場オリジナルの演出は、2人のダンサーに分担させていた3つの役、くるみわり人形と、王子と、現実世界で出会うドロッセルマイヤーの甥を一人で演じるというもの。ダンサーにとっては出ずっぱりになり、3役を演じ分けるなどかなりの力量が求められます。また、従来はマイム役だったねずみの王様をダンシングロールとしているのも特徴です。パワーとユーモアにあふれるダンスは、魅力的。舞台のあちこちに潜んだ余白の中に魔法が閉じ込められているような作品です。

全体を通して上品な色調で、美術がおとぎ話のように美しい。美術は、NHKの美術出身の川口直次、衣裳は数々の賞を受賞している前田文子。

ダンサーたちは6年目ということもあって、堂に入っています。しっかり身体にしみ込んだ華麗でスピーディなダンスを、余裕をもって披露します。

私は1月2日の柴山紗帆のクララと、渡邊峻郁の王子の回に行きました。雪の結晶や花のワルツの群舞は、新国立劇場ならではの一糸乱れぬ動きで見事です。

撮影:長谷川清徳

お楽しみのスペイン、アラビア、中国、ロシアの踊り、もちろん2人のパ・ド・ドウも充実しています。印象に残ったのは、ねずみの王様役の木下嘉人で自ら楽しんで踊っているのが伝わってきます。ドロッセルマイヤー役の中島駿野は、凛とした紳士のたたずまいが存在感を放ちます。

言わずと知れたチャイコフスキーの音楽は有名な曲ばかりで、どんな場面で流れる音楽なのかを知ることもできるでしょう。音楽はもちろん踊りの見せ場も多く、衣裳も美術も完璧ですので、安心して家族で楽しめる年末年始の催し物として定着していくに違いありません。

良い年でありますように。今年もよろしくお願いします。

*2022年1月3日現在の情報です*写真・記事の無断転載を禁じます。

 

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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