Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

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紳士のためのエンターテイメント

今年は、ベートーヴェンのオペラ『フィデリオ』の当たり年?

今シーズンの東京フィルハーモニー交響楽団は、名誉音楽監督チョン・ミョンフン指揮のオペラ演奏会形式ベートーヴェン『フィデリオ』で幕を開けました。

ベートーヴェンがこの作品のために書いたいくつかの序曲のうち、チョン・ミョンフンマエストロが選んだのは『レオノーレ序曲 第3番』。マエストロの思いがこもっています。ベートーヴェン唯一のオペラ『フィデリオ』は、動乱の時代、無実の人が危機一髪、救いだされる物語です。

 

全2幕で字幕付き。オペラもオペラ演奏会も、最近では日本の伝統芸能である文楽まで字幕がついて、なんてありがたいんでしょう。どれも心で聴く、観る物ではありますが、内容がわかると一層、解釈が深まります。

 

物語は・・

愛する夫フロレスタンは政治犯としてとらえられている。夫を救うために妻であるレオノーレは男装してフィデリオと名乗り、刑務所に看守として雇われることにした。フィデリオを信頼する看守長ロッコ。その娘マルツェリーネは、フィデリオに恋をしてしまう。

刑務所長のピツァロは、政敵であるフロレスタンを亡き者にしようと決め、ロッコに穴を掘らせることにした。レオノーレは、囚人たちに空気を吸わせるように提案し、囚人たちは久しぶりの外気に喜びの声をあげる。

フロレスタンが牢獄にいるわが身を嘆いていると、妻は彼の存在に気づくが、フロレスタンには誰だかわからない。そこに登場するピツァロ。フロレスタンを始末しようとするときレオノーレが立ちはだかり、2人とも殺そうとするのだが、そこに視察に来た大臣の到着を継げるファンファーレの音が聞こえてくる。

・・・・・・・・・・

 

チョン・ミョンフンさんは、30代で抜擢され、1989年から94年までパリ・オペラ座の音楽監督を務め、ウィーン国立歌劇場や、ミラノ・スカラ座、フェニーチェ歌劇場でも常連です。今回は指揮をするのに譜面なし。全部、頭の中にはいっているようです。

 

まずは、演奏会のはじめに俳優の篠井英介さんが、登場。物語のあらましを語ります。

 

歌手は、つい最近、ウィーン国立歌劇場で『フィデリオ』の主役フロレスタンを歌ったペーター・ザイフェルト。圧倒的な響きでスケールが大きい。レオノーレに、マヌエラ・ウール、熱演です。男装しているフィデリオのときはジャケットを羽織り、レオノーレとわかったときにジャケットを脱ぎ捨てました。

 

1幕の『ああなんて嬉しい』、そして最後の『素晴らしい伴侶を得たものは』の合唱は、第九の『喜びの歌』を彷彿とさせます。「フロイデ~♪」という歌詞が聴こえてくると、思わず歌いだしたくなります。

 

特筆すべきは、東京フィルが入場者に渡す詳細な楽曲紹介。とてもわかりやすく丁寧で、私のようなクラシック初心者にも理解できるようにつくられています。

 

2018年5月20日から新国立劇場で始まる、開場20周年記念特別公演オペラも新制作の『フィデリオ』。こちらは、新国立劇場オペラ芸術監督の飯守泰次郎さんが指揮をします。これもまた楽しみ。

*2018年5月6日(日)15時~Bukamuraオーチャードホールで開催されたものです。
*写真はすべて、東京フィルハーモニー交響楽団提供 *写真・記事の無断転載を禁じます。*2018年5月12日現在の情報です。

 

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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