Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのエンターテイメント

心に爽やかな風が吹く実話映画「グリーンブック」、アカデミー作品賞を受賞

良い男が出てくるわけでもない(失礼!)、美女との恋物語が語られるわけでもないけれど何とも温かく、爽やかな作品です。世界の映画賞を軒並み受賞し、第91回アカデミー賞作品賞など5部門にノミネートされ、作品賞を受賞しました。

© 2018 UNIVERSAL STUDIOS AND STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC.

 

物語は、1962年、NYの一流ナイトクラブ、コパカバーナで用心棒をしていたトニー・リップ(ヴィゴ・モーテンセン)がクラブの改装のための閉店を受けて仕事を探していると、そこに黒人ピアニスト、ドクター・シャリー(マハーシャラ・アリ)の運転手兼用心棒の話が舞い込んでくる。ドクターは、カーネギーホールに住み、ホワイトハウスでも演奏するほどの天才ピアニストとして知られていた。黒人専用宿泊所「グリーンブック」を手に、人種差別の色濃い南部へのコンサートツアーを決行することになる。

© 2018 UNIVERSAL STUDIOS AND STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC.

 

トニーはドクターと共に南部へ旅をしたことで、黒人に対する日常的なひどい扱いを知ることになります。はじめは、自分も偏見を持っていましたが、ドクターのピアノを聴くにつけ、その素晴らしさに心から敬服し、地域が彼の人間としての尊厳を認めないことに腹を立てます。さらに、彼の寂しさを知り、自分から心を開くように助言します。一方でドクターの方も彼にどんどん信頼を寄せていきます。2人は互いを認め合い、次第に友情が育まれるのでした。

 

© 2018 UNIVERSAL STUDIOS AND STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC.

監督は『ジム・キャリーはMr.ダマ―』『メリーに首ったけ』などコメディ作品で知られるピーター・ファレリー。あのお下劣だけど、抱腹絶倒の作品を作った監督が、このようなヒューマンドラマを作れるなんて、才能の幅の広さを感じます。

トニー役のヴィゴ・モーテンセンは、14キロも体重を増やしてガサツで無学だけれど、生き抜く力を持ったイタリア系用心棒を演じます。ドクター役は『ムーンライト』でアカデミー賞を獲得したマハーシャラ・アリ。

実はプロデユーサー・共同脚本を手掛けたニック・バレロンガはトニーの本当の息子で、父親へ何時間も話を聞き、ドクターにもインタビューを行ってあたためてきたストーリーを映画化しました。ドクターは18歳でボストン・ポップス・オーケストラでコンサートデビューを飾ったピアニスト。音楽、心理学などいくつもの博士号を取得し、複数の言語を操る品格のある紳士で、トニー家族とは、終生家族ぐるみでお付き合いがありました。トニーの家にいつもいる賑やかな親戚たちは、役者ではなく本当の親戚だというのも面白い。どうみても、役者に見えますから。

 

© 2018 UNIVERSAL STUDIOS AND STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC.

色々なことを考え、笑い、ほっとして、爽やかな気持ちになれる。そんな作品の公開は、今週末からです。すごく良い作品に出会えて幸せ!

 

2019年3月1日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー

*2019年2月27日現在の情報です

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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