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紳士のたしなみ

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英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2022/2023『フィガロの結婚」7月7日(金)から1週間期間限定公開

英国ロイヤル・オペラ・ハウスを映画館で楽しむシネマシーズン。7月7日から始まるオペラ『フィガロの結婚』は、演出がデイヴィッド・マクヴィカーで、指揮がアントニオ・パッパーノという素晴らしい組み合わせのプロダクションです。とても洗練されていて爽やかな気持ちになります。

© The Royal Opera, 2021. Photos by Clive Barda

このプロダクションは2006年に初演され、再演を重ねてきました。通常再演の時は、再演演出家が演出をするのですが、今回はマクヴィカー自らが細かいところまで演出をつけています。
パッパーノの切れ味がよいドラマティックな音楽にも、大満足。緊迫感があって、遊び心にあふれています。キャストは若手イタリア人が中心で、台本がイタリア語で書かれているため、言葉の多い作品ですが自然にのびのびと演じています。

© The Royal Opera, 2021. Photos by Clive Barda

伯爵夫人役にフェデリカ・ロンバルディ。高貴な声で抜群の歌唱力を誇ります。伯爵夫人は「妻たるものの中で最も品行方正な妻」とされている人物で、夫に一途な愛を持ち続けています。

彼女の夫であるヘルマン・E・アルカンタラ演じるアルマヴィーヴァ伯爵は、のっけから嫌味たっぷりに登場。表情や動きを見ているだけでおもしろい。フィガロはリッカルド・ファッシ。実になめらかな声で、おおらかに演技します。スザンナ役のジュリア・セメンツァートは、とてもキュートで魅力的です。

© 2022 ROH. Photograph by Clive Barda

アルマヴィーヴァ伯爵(ヘルマン・E・アルカンタラ)の召使フィガロ(リッカルド・ファッシ)が、伯爵夫人の小間使いスザンナ(ジュリア・セメンツァート)と結婚する日。スザンナが伯爵から迫られていると知り、嫉妬と不安で一杯になるフィガロ。一幕から二幕への転換が流れるように見事です。一方夫の心が離れたことに悩む伯爵夫人は、フィガロ達と一緒に夫を懲らしめることに。そこに、伯爵夫人に恋する小姓、フィガロに気がある女中頭が登場し、入り乱れ、複雑に物語の筋が絡み合います。さて、彼らのたくらみは成功するのか・・。

メロディが美しい名曲が次々と登場するのもこの作品の楽しみの一つ。一幕最後のフィガロのアリア『もう飛ぶまいぞ、この蝶々』、第二幕の小姓ケルビーノが伯爵夫人への想いを綴った『恋とはどんなものなのか』、第三幕の伯爵夫人とスザンナの二重唱『そよ風に寄せる<手紙の二重唱>』は、まるで天使が歌っているかのようです。

人は死なないし、ハッピーエンドだし、オペラ・ブッファ(喜劇)は、実に楽しい。

イタリア3部作と言われるのが、台本家ダ・ポンテと組んでモーツアルトが作った1作目が『フィガロの結婚』、そして『ドン・ジョヴァンニ』『コジ・ファン・トゥッテ』。これらは、オペラの中でも最も公演数が多い演目です。

プロダクションによって、演出家によって、指揮者によって、キャストによって全く変わるのがオペラの醍醐味。同じ作品を何度も何度も繰り返し見て、演目ごとに自分が好きな曲を見つけ、いずれ歌えるぐらいになりたい(笑)。

英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズンフィガロの結婚』7月7日(金)よりTOHOシネマズ 日本橋 ほか全国公開
HPはコチラhttp://tohotowa.co.jp/roh/

*2023年7月6日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます。

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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