Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
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紳士のためのエンターテイメント

開館20周年を迎えた、箱根・ポーラ美術館記念展「ピカソ 青の時代を超えて」

ほんの少し秋の気配を漂わせた、箱根のポーラ美術館に行ってきました。

ピカソ 青の時代を超えて」というテーマで、展示室やグッズ売り場などすべて青色で統一された美術館内部は、ソフィスティケイトされています。私もブルーの服を着てくればよかった。想いが至りませんでした、残念。

インスタ映えするのでしょうか。若い女性たちの来館者が多く、これもまた驚きです。どちらかというと美術館は、年配の来館者が多いものですが様変わりしていました。9月17日(土)から30日(金)まで24歳以下が無料というのも影響していたのかもしれません。

展示室入り口では、ピカソのOの文字の下に立って写真を撮るとピタリと収まるように、文字の高さを調整したのだとか。さすが、時代にフィットしたセンスですね。

 

(c)Ken KATO

 

2022年9月17日から始まった「ピカソ 青の時代を超えて」は、ピカソにとって「青の時代」とは何だったのか、隠されたピカソの制作プロセスを明らかにします

ピカソが初めて自分の様式を確立した20~23.4歳の頃の作品を「青の時代」と呼びます。このとき、一枚のキャンバス上で何度も塗り替えて模索を繰り返しています。貧しい人たちを、青の絵の具を用いて描く。それらに最新の科学技術を用いて分析しみると作品の一貫性が見つかりました。下の層をリソースに、上の層を描いていく。そうした変容のプロセス、描き変える技法、カンヴァスのリユース、プロセスの可視化が、どの時代の作品の中にもあることがわかります。

(c)Ken KATO

おもしろかったのは、《海辺の母子像》をパリからバルセロナに運ぶとき、新聞紙でくるんで運んだため、まだ乾ききっていなかったキャンバスに新聞の文字が写っていたというのです。そして、その文字が写った状態を一つの完成した作品として知人にプレゼントしています。キャンバスと格闘し、納得いくまで描き直した変遷がすべてそこにあり、その変遷を受け入れ活かす。同じく今回展示されているキュビスムの作品の中にも、描き変えや、キャンバスのリユースといったものが見られます。

カフェでは、この《海辺の母子像》に着想を得たオリジナルドリンクもおすすめ。見た目もいいけど美味しいので、試してみてください。

最後に、この美術館の周りの「森の遊歩道」を歩いてみました。全長約1キロのコースはゆっくり歩いて40分ほど。ブナやヒメシャラなどの樹木の幹が美しく、ところどころで美術作品に出会えます。建物の近くをぐるりと歩くのですが、「クマが出たらすぐ逃げろ」という立て看板があって、それを見た途端、慌てて館に戻りました。

*2022年9月30日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます。
ポーラ美術館(箱根)「ピカソ 青の時代を超えて」2023年1月15日まで HP:https://www.polamuseum.or.jp/sp/picasso2022/

 

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

https://cross-over.sakura.ne.jp/

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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