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「テルマエ展 お風呂でつながる古代ローマと日本」パナソニック汐留美術館 4月6日~6月9日

大ベストセラー「テルマエ・ロマエ」の著者で漫画家、随筆家のヤマザキマリさん協力の展覧会が、汐留のパナソニック美術館で開催中です。「テルマエ」と聞くだけで「お風呂だ」「ひらたい顔族だ」とピンとくるほど「テルマエ・ロマエ」の影響力は強く、あっという間に古代ローマと日本が、公共浴場でつながります。なんだか、ワクワク、楽しい気分になるのも「テルマエ・ロマエ」効果ではないでしょうか。

ナポリ国立考古学博物館所蔵の絵画、彫刻、考古資料を含む100件以上の作品や映像、模型などを通してテルマエを中心に古代ローマの人々の生活が紹介されます。

古代ローマ帝国は空前の繁栄を誇りました。豊かな暮らしと優れた土木建築技術が具現化されたものがテルマエです。想像復元CG映像や、カラカラ浴場を250分の1サイズで復元した模型などを見るとそのすごさが実感できます。さあ、「テルマエ・ロマエ」の主人公ルシウスに、会場を案内してもらいましょう。

4世紀のローマ市内には、大規模なテルマエが11もあり、小規模なものになると約900もあったそうです。最初にテルマエを作ったのは、初代皇帝の女婿。戦いに勝利してローマの内戦に終止符が打たれ、自分の所有となった土地に市民のためのテルマエを建設しました。何という人格者なのでしょう。最初はサウナのみでしたが、紀元前19年に水道が敷設され、水や湯をふんだんに使用するテルマエになりました。仕事の後にテルマエでのんびりし、特別な日は見世物を見るなど皇帝からの「パンとサーカス」は大衆を喜ばせ、人気を得るのに役立ちました。

今も遺構がよく残っているのが有名なカラカラ浴場とディオクレティアヌス浴場。テルマエを建設したカラカラ皇帝など、皇帝たちの胸像が迎えてくれます。

左)アポロ・ピュティウス坐像 右)カラカラ帝胸像(共にナポリ国立考古学博物館蔵)

 

ローマ人にとってテルマエは単に体を洗う場所ではなく、身体を動かして汗を流し、多くの人と交流して心身の健康を保つ場所でした。そのため、テルマエの周りには運動場が併設され、食事や音楽を楽しんだり、図書館で本を読めたりと文化サロンのような側面もありました。社交の場であると同時に、庶民も富裕層も、階層の垣根を越えて裸で接することができる場でした。

また、忘れてならないのは美術品を間近に見ることができる場所でもあったということです。床はモザイクが敷かれ、皇帝などの大理石彫刻、神々の像や古代ギリシャの有名作品のコピーが壁面や台座の上に並んでいました。お風呂に入りながら、これだけのものに囲まれていたなんて、羨ましい。

恥じらいのヴィーナス(ナポリ国立考古学博物館蔵)

そして、展覧会では日本の入浴文化にも言及します。日本人は日常的に湯船につかり、銭湯に行ったり温泉を訪れたりするのも、大切な娯楽の一つです。その色々を探ります。会期中、都内の銭湯とのコラボスタンプラリーも開催しています。

ヤマザキマリさんは、記者会見で「海外に長く住んでいた時に湯船にゆっくり身体を浸したいと切実に願い、その強い思いが、この作品を生みました」と話していました。

4月16日にオープンした原宿・神宮前交差点の「ハラカド」というビルの地下にも銭湯ができるなど、日本人は大のお風呂好き。だって、癒されますものねぇ。

 

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*2024年4月21日現在の情報です。*記事・写真の無断転載を禁じます。

 

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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