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超クールでイケてる ボストン美術館所蔵「THE HEROES刀剣×浮世絵―武者たちの物語」

アメリカ・ボストン美術館が所蔵する武勇伝説や軍記物語に登場する英雄の姿を描いた「武者絵」と呼ばれる浮世絵や刀剣などが展示される「THE HEROES 刀剣×武者絵―武者たちの物語」が、六本木の森アーツセンターギャラリーで開催されています。

世界最高水準の日本美術コレクションを誇るボストン美術館から118点の武者絵と刀剣の鐔(つば)、20口の刀剣が展示されています。

1870年に創立されたボストン美術館には、大森貝塚の発見で知られるエドワード・モースや、日本美術研究者でコレクターのウイリアム・ビゲローが明治時代に日本で購入し寄贈したものや、この美術館で中国・日本美術部長を務めた岡倉天心が収集したものなど、約10万点の日本美術が収蔵されています。その半数、約5万点が浮世絵版画で、刀剣は約600もあります。

その中から菱川師宣、勝川派、歌川国芳、月岡芳年などの絵師が描いた日本初出展の118点が展示されますが、どれも色鮮やかで大胆な構図、勢いがあって強烈なインパクトがあります。その武者絵と共通のイメージを持つ刀剣の鐔も27点並べられています。その鐔も美しく、力強く、精工で、もっとじっくり見たいと思うのですが、小さくてよく見えません(笑)。

武者絵と言うのは、浮世絵の中でも『平家物語』や『太平記』と言った軍記物語や武勇伝説を題材として描かれた作品を言います。絵巻物や屏風絵、絵馬などに書き継がれていた画題で、それぞれに必ず共通のイメージがあります。そして江戸時代の人にとっては、一目見れば何が描かれているかすぐわかる常識でした。

平安中期から末期まで約200年の事柄について表す『前太平記』に伝わる「土蜘蛛退治」を描いた歌川国芳の「和漢凖源氏 源頼光 薄雲」(1855年9月)は頼光が襲い掛かる土蜘蛛を愛刀の膝丸で切りかかっている様子が描かれ、同じく歌川国芳の「源頼光の四天王土蜘退治之図」(1839-40年頃)は、病に伏せる源頼光に襲い掛かった土蜘蛛を、頼光の家臣たちが成敗しています。

こうした物語は、歌舞伎や浄瑠璃などからも影響を受けていて、平家が滅亡した壇ノ浦の戦いを描いた歌川国芳の「壇浦戦之図」(1844年頃)は、平知盛が碇(いかり)を背負って海へ飛び込もうとしている様が、まるで役者のようです。また、同時代に流行した浄瑠璃「義経千本桜」に、知盛が碇を背負って入水する演出がつけられると、画題そのものも変化するなど互いに影響し合っていたことがうかがえます。

<展示風景>

五条橋の橋弁慶が描かれた歌川国貞の「武蔵坊弁慶 御曹子牛若丸」(1813-14年頃)、川中島の戦いを描いた歌川国芳の「川中島信玄謙信旗本大合戦之図」(1845年頃)など、どれも江戸時代に庶民を熱狂させた英雄たちが登場しています。スタイリッシュでデザイン性に富み、アートの頂点を極めています。

あわせて、武者たちの活躍に欠かせない刀剣の実物も展示され、その姿の良さにはほれぼれします。

そしてもうひとつ。それぞれの画題をすぐに理解できる四コマ漫画もあわせて読むと楽しめます。絵本作家・漫画家の関口シュンさんの描き下ろしです。

 

ボストン美術館所蔵「THE HEROES刀剣×浮世絵―武者たちの物語」

2022年1月21日(金)~3月25日(金)森アーツセンターギャラリー 事前予約制(日時指定券)※当日券も用意あり 六本木ヒルズ森タワー52階

*2022年2月18日現在の情報です。*写真・記事の無断転載を禁じます。

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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