Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのエンターテイメント

東京フィルの人気シリーズで、喜びの幅を広げる

東京フィルは、「渋谷の午後のコンサート」「平日の午後のコンサート」「休日の午後のコンサート」と題して、指揮者の話と名曲を楽しむシリーズを開催しています。

名曲を聴けるのはもちろんのこと、指揮者やゲストの生の声を聞けるのも魅力の一つ。事前に観客から集めた質問に曲の合間に答えていくスタイルで、お話しされる方のお人柄が伝わってきます。2月6日、2021シーズン最後の「午後のコンサート」に伺ってきました。

提供=東京フィルハーモニー交響楽団

指揮とお話は三ツ橋敬子マエストロ。ゲストは令和3年度に文化庁長官表彰ならびに文化庁芸術祭「大賞」を受賞した仲道郁代ピアニストです。「テーマは愛

 まずは、リストの「ハンガリー狂詩曲第2番」。有名な曲なので、聴けばすぐにわかるでしょう。ハンガリー生まれのリストは、ロマ(ジプシー)の音楽に興味を抱き自分の音楽に取り入れました。三ツ橋マエストロは小柄できゃしゃな体を大きく動かし大胆な音を紡ぎ出します。心躍る民族音楽は、旅に出られない今の私たちに高揚感をもたらしてくれます。

続いて、ショパンの「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」。ショパンは、20歳でポーランドを離れる前に後半部分の作曲を始め、ウィーンで完成させ、その後パリで前半部分を作曲しました。前半は、ピアノのソロ。後半になってオーケストラと一緒になります。

提供=東京フィルハーモニー交響楽団

質問コーナーで、三ツ橋マエストロに「身体のメンテナンスはどうしているか」というのがあり、「普段の動きから背筋はつくが、腹筋がなかなかつかないのでトレーニングをしたり、ストレッチボールなどに乗って体幹を鍛えている」ことや、東京フィルの部活動「バレエ倶楽部」に入っていることなどを明かしてくれました。東京フィルはバレエ公演の演奏をすることも多く、先生をお招きしてオケのメンバーも体を動かしているのだとか。バレエ公演で演奏をしているときも、舞台上のダンサーたちの身体能力の高さを実感することができそうです(笑)。

休憩のあとは、ハチャトゥリアンの劇音楽『仮面舞踏会』よりワルツで、オリンピックのフィギュアスケートで浅田真央選手の演技で使われたので、知っている方も多いのではないでしょうか。これまでもフィギュアの選手の動きはバレエと近いように感じていましたが、やはりバレエを習う方もいらっしゃるのだそうです。

最後は、チャイコフスキーのバレエ組曲『白鳥の湖』より。バレエダンサーの姿が見えるようです。つま先の動きや、しなやかな指先、さらにはジークフリート王子とオデットの滑らかな踊りやピッタリとそろった群舞が目に浮かびます。

そして一貫して言えるのは、三ツ橋マエストロが幸せに満ちた方なのではないかということです。すべての音楽から、たくさんの愛があふれ出し、観客と分かち合うことができました。

提供=東京フィルハーモニー交響楽団

先日、文化人類学者の上田紀行先生が、オーケストラの定期会員の良さについて語っていました。「それまでの人生の好きだけだと世界が広がらない。未知の世界にどれだけ次なる好きが隠されているか。たくさん聴くことによってどんな演奏が自分の好みなのかがわかる」と。

東京フィルでは、シリーズごとに4回をセットで購入すると少しお得になります。普段は聴かない曲や、聴いたことがない指揮者の演奏を聴いてみたりするのもいいかもしれません。自分でコンサートを選ぶとどうしても好きな曲、好きな指揮者ばかりに目が行きますが、セットだと幅が広がり、出会ったことがないものに出会えます。「この曲聴いたことないけどよかった」とか「この指揮者、私好きかも」といった「音楽っていいなぁ」という瞬間が増えるに違いありません。

*使用楽器:ヤマハコンサートグランドピアノCFX *写真は、2月3日公演のもの *記事・写真の無断転載を禁じます

 

 

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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