Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのエンターテイメント

ダブルビルと呼ばれる、1幕ものオペラの2本立て公演が始りました

新国立劇場に大野和士芸術監督が就任してから初の試みで、レパートリーを拡げるために1幕もの2本立てのダブルビルがスタートしました。その1回目が、フィレンツェを舞台にした悲劇と喜劇の組み合わせです。

アレクサンダー・ツェムリンスキー『フィレンツェの悲劇』は、暗く重厚で登場人物は3人のみ。オスカー・ワイルドの戯曲を原作に、夫婦とその妻の愛人である公爵の息子の話です。

妻は公爵の息子を誘惑し、翻弄し、愛を誓いますが、夫と公爵の息子が決闘をして夫が勝つや否や「あなたは何て強くて素敵なんでしょう」と心変わりします。その移り気の速さにはビックリ。まぁ、そもそも夫婦なんですから相手を思う気持ちはあって当たり前ですが、浮気した妻を夫は怒らないのかしら(笑)。

夫役に世界で活躍するバリトン、セルゲイ・レイフェルクスを迎え、明るく華やかな声の愛人役ヴゼヴォロド・グリヴノフは新国立劇場初登場です。

 

続いてのジャコモ・プッチーニ『ジャンニ・スキッキ』は、軽妙で楽しい仕上がりです。

舞台は書斎デスクの上の設定。そこにある、羽ペンやインクツボ、お皿にクッキー、天秤、ペン皿のペン、時計に写真に、執事を呼ぶベル、燭台、引き出しとすべて動かしたり持ち上げたりできるようになっています。おままごとをしている気分で、それだけでもワクワクします。

物語は、亡くなったばかりの人の前で親族が繰り広げる遺産相続を巡るドタバタに若い恋人たちの話が絡みます。

ジャンニ・スキッキ役には現代を代表するバリトン、カルロス・アルバレス。アルバレスはこの春、舞台デビュー30周年を迎えるベテランですが、ジャンニ・スキッキ役にロールデビューです。このアルバレスがとても楽しそうに演じ、生き生きと舞台をひっぱります。

若い恋人ラウレッタのアリア「私のお父さん」は、とても有名な曲なので「あっ、この曲はこの作品に出てきたのね」と思う方も多いはず。こうした有名な曲だと歌手としては力が入るのでしょうか、どうしても歌い上げる感じになってしまいます。物語の流れからするともっと軽やかでもいいと思うのですが、いかがですか。今、シネマ歌舞伎でかかっている『野田版 桜の森の満開の下』でもこの曲は多用されていますので、両方楽しみました。(シネマ歌舞伎『野田版 桜の森の満開の下』の記事はコチラです

指揮は、びわ湖ホールの芸術監督でもある沼尻竜典、演出は繊細な読解に定評があるイタリア育ちの売れっ子演出家、粟國淳。

 

1時間もののオペラを楽しむっていうのも、なかなかいいかも。あとはお値段がこなれると、私としてはもっと行きやすい(笑)。

 

*写真撮影:寺司正彦 提供:新国立劇場  この演目の詳細のHPはコチラ

*2019年4月11日現在の情報です*記事、写真の無断転載を禁じます

 

 

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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