Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
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紳士のためのエンターテイメント

英国ロイヤル・オペラ・ハウスも戻ってきた。映画館で見よう『トスカ』

英国ロイヤル・オペラ・ハウスのライブビューイングを見るのは、私は初めて。こちらもMET同様、長い間上演されていませんでしたが、ようやく再開しました。シネマシーズン2021/22の映画館での上映作品は6つで、2月18日から『くるみ割り人形』が、『トスカ』が3月11日から公開されます。

(c) KENTON

プッチーニの傑作オペラ『トスカ』は、激動の時代の1800年の真夏のローマが舞台です。オーストリアがナポレオン軍とたたかい、世の中は革命思想にあふれていました。そうした状況の中、オペラ歌手トスカと画家カヴァラドッシの恋の物語。

お話はフィクションですが、歴史的背景や場所は実在していますので、気楽に旅に出かけられる日が来たら、ぜひトスカの気持ちになってサンタンジェロ城の上に登ってみたいですね。

アリア「歌に生き、愛に生き」に代表されるイタリア・オペラ「トスカ」は、プッチーニならではの美しい旋律が魅力です。演出は、ジョナサン・ケント、再演演出はエイミー・レーン。英国ロイヤルオペラならではの重厚な舞台セットは見事です。主人公で画家のカヴァラドッシが教会に描く絵は、壁画でこれもまたインパクトがあります。

(c) KENTON

カヴァラドッシ役は、当初予定されていたブライアン・イメルが不調のため降板し、若手のフレディ・デ・トマーゾに交代しました。第一幕で、トスカへの愛を歌うアリア「妙なる調和」で、トマーゾの実力がわかり、この後の展開が楽しみになりました。若々しくて力強く、革命に命を懸ける男らしさにあふれています。

策略をめぐらしながら、つぶやき続ける警視総監スカルピア役のアレクセイ・マルコフの悪役ぶり、そして間の取り方はさすが、熟練の技を感じます。

情熱的で力強い声のトスカは情感豊かです。カヴァラドッシの拷問をやめてくれとスカルピアに頼むトスカに、スカルピアは夜を共に過ごすことを強要します。トスカはその苦悩を「歌に生き、愛に生き」で歌いあげます。トスカ役に、その美貌と、声と演技が高く評価され、イギリスでは「神々しいディーバ」と絶賛されているエレナ・スティヒナ。彼女のこの「歌に生き、愛に生き」は、冒頭のフレーズから聴衆を引き込み、心情が込められ、今まで見た中で一番のトスカでした。

(c) KENTON

そして、叙情的にオーケストラを鳴らす ウクライナ出身の女性指揮者オクサナ・リーニフの奏でる音が、繊細で大胆に歌手たちの歌を引き立てるばかりか、オーケストラの良さを引き出します。

英国ロイヤル・オペラ・ハウスの実力を見ました。世界中のオペラハウスを訪ねることができたら、どんなに人生が豊かになるでしょう。

 

公式サイト:http://tohotowa.co.jp/roh/  3月11日(金)から1週間 TOHOシネマズ日本橋ほか全国公開

*2022年3月10日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます。

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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