Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
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紳士のためのエンターテイメント

パリ・オペラ座バレエ シネマフェスティバル開催中

東京・恵比寿ガーデンシネマで、12月2日(金)から「パリ・オペラ座バレエ シネマフェスティバル」が始まりました。工事のため閉館していた恵比寿ガーデンシネマが1年半ぶりに営業を再開し、その再オープンを記念してのフェスティバルです。

12月3日(土)に開催された上映前のトークイベントには、バレエダンサーで俳優の宮尾俊太郎さんと舞踏評論家の森奈穂美さんが登壇しました。

宮尾さんが入場すると、その姿の良さに会場からため息が聞こえます。

まず宮尾さんから、今回上映されるルドルフ・ヌレエフ版の『シンデレラ』が古典とは全く違って斬新だという話。このプロダクションは86年が初演で、初演の時はシルヴィ・ギエムがシンデレラだったと森さん。

Kバレエカンパニーで『シンデレラ』の王子役だった宮尾さんですが、フランスで10代の頃に学んだ経験があります。「フランスバレエは足で語るバレエと言われ、ポジションや足さばき、足の動きに鍛錬を積み、高速で動かす訓練をしています。その美しさに注目」。

森さんからは、「ヌレエフの振付が難しい」。レベルの高い振付だそう。

さらに、宮尾さんは「最後の一曲が好きで、あれを聴きながら死にたいと思うほど美しい」。また、「舞台の上にいるダンサーはオーケストラとの距離が近いので、音の振動が伝わってきて、身体を通して聴くことができる、とても良い時間を持てる」とも語っていました。

現在、宮尾さんは舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』に出演中です。

お2人の軽妙なトークを聴いた後は、『シンデレラ』の上映です。これは2018年に上演されたもので、パリ・オペラ座バレエ団の元芸術監督ルドルフ・ヌレエフの振付です。

ヌレエフがパリ・オペラ座バレエ団の芸術監督に就任したのは1980年代のことです。ヌレエフのことは、彼をモデルにした映画『ホワイト・クロウ伝説のダンサー』でご存じではないでしょうか。

セルゲイ・プロコフィエフの音楽にのせて、1930年代のハリウッドが舞台。王子はアメリカの映画スターに置き換えられ、シンデレラはハリウッド女優になるという設定。ハリウッドへのオマージュがちりばめられ、キングコングや、マリリン・モンローなども登場します。

映画スター(王子)は、これが引退公演のカール・パケット。宮尾さんも言っていましたが、とても引退とは思えない力強い踊りです。パリ・オペラ座バレエは42歳が定年なので、どんなに踊れても、どんなに観客が観たくても、きっちりと線が引かれています。

シンデレラにはヴァランテイーヌ・コラサント。魔法使いのおばあさんは、映画プロデユーサーに置き換えられています。エトワールがたくさん登場しますので、存分に楽しめるでしょう。

 

このあとの上映スケジュールは、12月9日からは、私の推しマチュー・ガニオが登場する『白鳥の湖』、1月6日からは、オーレリ・デユポンの引退公演『マノン』、1月13日からクリスチャン・ラウロワの衣裳・舞台が観られる『夏の夜の夢』、3月24日『眠れる森の美女』、3月31日からは、次期芸術監督のジョゼ・マルティネスも登場する『バレエ・リュス』、4月7日『プレイ』、4月7日『ジェローム・ロビンズ・トリビュート』と8作品ラインナップされています。

恵比寿ガーデンプレイスのイルミネーションを眺めながら劇場まで歩き、年末にふさわしい優雅な時間を過ごすことができました。

 

*2022年12月5日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます。

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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