Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのエンターテイメント

METライブビューイングは、今日から『椿姫』

実在の高級娼婦をモデルにした『椿姫』は、オペラの定番中の定番です。わかりやすく、美しく、「乾杯の歌」といった有名な曲もあり、初心者にもうってつけの作品です。マリア・カラスが、この役で名を残したことはよく知られています。

(c)Jonathan Tichler/Metropolitan Opera.jpg

物語は・・・・・・・・・・・

19世紀のパリのサロンに集う人たち。誰をも魅了する高級娼婦ヴィオレッタは不治の病を患っています。純真な青年アルフレードが愛を告白し、ヴィオレッタは彼と一緒に暮らし始めることに。ところがそこに、アルフレードの父親が現れ、ヴィオレッタのせいで妹の結婚がダメになるから息子と別れるように強要します。ヴィオレッタは、彼のためを思い、嘘をついて身を引くことにしました。そのとき彼女の命は尽きようとしているのでした・・・。

マイケル・メイヤーの演出に、美術はクリスティ―ン・ジョン―ズ、衣裳はスーザン・ヒルファティー、指揮はダニエル・カッレガーリ。古典演劇からミュージカル、映画までダイナミックな表現で話題を呼ぶメイヤーの演出は、目が離せません。トニー賞を受賞している演出家です。

音の細部まで徹底的に作りこむイタリアの名匠、ダニエル・カッレガーリマエストロは、新国立劇場でも指揮をしています。

ヴィオレッタ役は新時代のスター、ネイディ―ン・シエラ。母親がポルトガル人なのでラテンの血が入っています。どの音域も声量があり、余裕で自在に軽々と歌います。彼女に恋するアルフレードはテノール、ステ―ヴン・コステロ。つややかな声で、演技力も抜群です。父親役にヴェルディ・バリトンのルカ・サルシ

(c)Marty Sohl/Metropolitan Opera.jpg

健康美溢れるシエラが、結核の女性を演じられるのだろうかと思っていましたが、素晴らしい。幕が開いた最初の場面から、死相が浮き出ていて、彼女の運命に涙がこぼれ落ちます。多くの名歌手たちが、この役を演じてきましたが、演じる人の声、歌によってこれほどまでに違う人物像が描けるなんて思ってもみませんでした。

お気にいりのシーンを少しご紹介します。

サロンに集う人たちの衣裳の色彩に酔いしれ、1幕、アルフレードが愛を告白したときの二重唱は、あまりに美しく何度でも繰り返し聞きたい。2幕の再びパリにもどってからのサロンでのヴィオレッタのゴールドのドレスが、シエラにとてもよく似合います。

(c)Marty Sohl/Metropolitan Opera.jpg

 

12月は忙しいけど「観てよかった」と思える作品でした。

 

METライブビューイング『椿姫』 2022年12月16日(金)~12月22日(木)東劇のみ1月5日(木)まで

HP:ヴェルディ《椿姫》 | 演目紹介 | METライブビューイング:オペラ | 松竹 (shochiku.co.jp)

*2022年12月16日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます。

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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