Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのエンターテイメント

発見と驚きのペアリング「季苑(KION)」

ハーブ、スパイス、発酵が織りなす創作和食日本酒ペアリングを楽しむことができる銀座の隠れ家「季苑(KION)」。

「お料理に日本酒を合わせる場合と、日本酒にお料理をあわせる場合と両方ありますが、この秋のコースは日本酒にあわせてお料理を考えました」と語るのは、25歳の唎酒師土井貴文さんと28歳の料理人鈴木建也さん。

清潔で美しいたたずまいは、店内にも、料理にも、日本酒にも、そこで働くお2人にも共通しています。お2人の真摯な姿勢が、すべてに現われています。

薬膳や漢方の考え方を取り入れ、スパイスや香りを駆使したメニューは2コース。スタンダードコースは、お料理9品と日本酒9種類のペアリングで1万円(税・サービス料込)。ショートコースは、季節のお料理6品と日本酒6種類のペアリング8000円(税・サービス料込)。内容は、季節ごとに変わります。

『男子専科』「紳士のたしなみ」でもお馴染みのペアリングのプロ小田切崇さんに敬意を払いつつ、ご紹介させていただきます。10月から12月までの、秋のスタンダードコース、まずは、「(先付)セミドライ蜜柑のガレット 満寿泉 貴醸酒オーク樽熟成

セミドライ蜜柑、ブルーチーズ、パンチェッタ、フェンネルなどをガレットでくるみます。お酒は1対1のソーダ割。一口目のアルコールですので、軽い口当たりが心地よい。

(御重1段目) 戻り鰹の瞬間燻製  新政 亜麻猫

もくもくした燻製の香りの戻り鰹に、新政の酸味が溶け込みます。

(御重2段目) 蒲公英(たんぽぽ)とカカオニブのポンデケージョ 岩の井 山廃純米大吟醸12℃

温かいポンデケージョを照葉の上にのせ、お酒は常温で。

(御重2段目) 馬肉のタルタル 梨 ハリッサと、上と同じお酒を冷やして2℃

(御重2段目) 蔵王鴨葡萄酢 林檎 黒大蒜(にんにく)と上と同じお酒を常温で

(御重3段目)くるみ豆の白和え  大那 夏越し純吟

主菜 経産牛の包み焼 どぶろく 生もとぬる燗

牛肉をパンダンリーフで包み甘い香りがします。味付けは醤油もろみソース。とろりとしたどぶろくとのマッチングが忘れられない味わいです。どぶろくは、岩手県遠野の民宿で作っているもの。

 

強肴 SANCHAIの揚げ出し 華鳩 熟成酒ブレンドぬる燗

椀物 牛すじの粕汁 真澄 真朱

主菜の経産牛のすじでとった出汁の粕汁。酒粕はお酒と同じ真澄。

御飯 酵素玄米ちまき 伊根満開 古代米酒 熱燗

きっちり三角錐のちまきは、赤米で作った手のかかる酵素玄米。古代米で仕込んだ京都・向井酒造の酒を熱燗でいただきます。

グレープフルーツ

水物 栗マロン南瓜のチーズケーキ 作 純米大吟醸 雅乃智

複雑な味わいのチーズケーキ。お料理の最後の締めにぴったりのサイズ感です。

 

ペアリングのお酒を全部飲んでも1合半ほど。料理を味わいつつ、お酒を飲むことでさらに料理の味わいを深め、お酒の味も高めるという相乗効果がペアリングの良さ。

料理人の鈴木建也さんは、サラリーマンを辞めて1年間、隠岐の島で料理の修業をしてきました。といっても、作り方を学ぶのではなく、竹林に入って筍を掘ったり、港で漁師さんの水揚げと仕分けの手伝いをしたり・・・。

何がどうやって育ち、どのようにして手元に来るのか。それを知ることで、自ずと食材に対するリスペクトと、感謝の気持ちがわいてくるに違いありません。

と同時に、命を大切に扱い、どうすれば活かしきることができるのかを真剣に考えるきっかけにもなるでしょう。「食材の原点と生産を学びました。これがデビュー戦です。日本酒とのペアリングも学びつつ、盛り上げていけたらいいなと思っています」と鈴木さんは語ります。

2021年4月にオープンし、最初は在日アメリカ大使館総料理長だったマリベス・ボラ―さんが期間限定で監修し鈴木さんが調理していました。6月からは鈴木さんが一手に引き受けています。

土井さんは、大学時代のアルバイト経験から日本酒に魅せられ、全国の酒造を訪ね歩き2019年に唎酒師の資格を取得。2020年に山形県の桜川酒造で研修を受けさせてもらったそうです。

さわやかな若い2人の才能とさらなる伸びを期待しつつ、多くの人に愛され続けますように。

HP:https://www.kion-ginza.jp/ 〒104-0061 東京都中央区銀座8-7-10 FORGED Bld. B2 0362638180 *2021年10月21日現在の情報です

 

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

https://cross-over.sakura.ne.jp/

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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