Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのエンターテイメント

聴衆の心を鷲づかみにしたイワン・ワシーリエフ!

バレエというのは女性が行くものと思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、240年の歴史と伝統のある世界3大バレエ団の一つ「ボリショイ・バレエ」の客席は男性率がかなり高い。年齢も様々で、客席はほぼ満席。あいている席が数えられるほどでした。

今回、日本での初演目「パリの炎」は、人気のイワン・ワシーリエフが聴衆の心を鷲づかみにしました。東京公演・最終日のカーテンコールでは5階席の最後尾までスタンディグオベーション。観客の大喝采はやむことを知りません。

(C)瀬戸 秀美

ボリショイ・バレエ団の来日は2年半ぶり。今年は特に、初来日から60年という節目の年で、今年1月に90歳を迎えた巨匠ユーリー・グリゴローヴィチ振付の「白鳥の湖」と「ジゼル」といった大人気の演目と、「パリの炎」というアレクセイ・ラトマンスキー振付のフランス革命時代の物語と、3演目を抱えての引っ越し公演です。

引っ越し公演というのは大掛かりで、ダンサーの他、ボリショイ劇場管弦楽団、舞台スタッフなど総勢230名が現地の舞台をそのまま持ってきて見せてくれるのですから、これほどありがたいものはありません。一度はロシアに行って観てみたいけど、まずは、日本でネ!

(C)瀬戸 秀美

「パリの炎」、そのストーリーは・・・・・・

革命を志すマルセイユ義勇軍のフィリップ(イワン・ワシーリエフ)は、通りがかりの村に住む兄ジェローム(アレクサンドル・スモリャニノフ)と妹ジャンヌ(クリスティーナ・クレトワ)と出会い恋に落ちる。

そこに狩りにやってきた貴族(イーゴリ・ツヴィルコ)がジャンヌに言い寄り、兄が止めに入ると城の牢に投獄されてしまう。それを見ていた貴族の娘アデリーヌ(アナ・トゥラザシヴィリ)は彼を愛し逃がす。兄妹はそのまま義勇軍に加わりパリへ。

同じころ、ヴェルサイユ宮殿では舞踏会が開かれていた。遠くから義勇軍の「ラ・マルセイユ」の歌声が聞こえてくると混乱に陥る。

(C)瀬戸 秀美

立派な兵士になった、兄妹、そしてフィリップ。そこに宮殿を逃げ出したアデリーヌが合流し、襲撃の時がやってきた。

革命が成功し、広場の断頭台に連行される貴族たちの中に父親を発見したアデリーヌが父のもとに駆け寄ると、父と共に断頭台にあがることになってしまう。悲嘆にくれるジェローム。その悲しみをよそに、民衆の自由への歓喜の歌声が響く。

・・・・・・・

後半、ジャンヌとフィリップの2人のダンスがあるのですが、ジャンヌ役のクリスティーナ・クレトワも素晴らしいけど、とにかくイワン・ワシーリエフの踊りには感動です。ダイナミックで力強く、その跳躍力と言ったら人間とは思えない。大胆でパワフルで、どれだけタフなんでしょうか。

(C)瀬戸 秀美

 

踊り終わった時の「どうだ~!」というような、満面の笑みもキュートで、観客からはブラボーの声が飛びます。

ワシーリエフは、2010年にボリショイでプリンシパル(最高位)ダンサーになり、その翌年にはミハイロスキー劇場に移籍し、その後、世界で活躍し、今回はゲスト・プリンシパルとして特別出演しています。アクロバティックで派手な踊りは、ドラマティックでエネルギーに満ち溢れています。

 

しかも、サービス精神旺盛で、何度にもわたるカーテンコールでさがるときには毎回跳躍を見せてくれるのです。

(C)瀬戸 秀美

「3歩下がっただけで、それだけ高く飛べるの~?!」と、歓声が!

あれだけ激しく踊ってくたくただと思うのに出し惜しみなく、皆が求めているものを披露する。そのたびに、観客はわき、燃え上がるのです。

ワシーリエフのファンの方も、初めて見た方も、これなら大満足間違いなし。驚異的なジャンプで観客を驚かせる、世界で旋風を巻き起こすスーパーダンサーに、私はすっかり魅せられてしまいました。

 

私の心もとろけそうですが、後ろの方から男性が興奮気味に「パリの炎」ってこういうストーリーだったんだね」と聞こえてきました。コメントは冷静ですが、心は踊っているようでした。

 

ボリショイ・バレエ団、今回、日本には2017年6月2日(金)~18日(日)の来日でした。

次は2020年。その時まで、首を長くしてお待ちしておりま~す。

 

今回の来日のHP:http://www.japanarts.co.jp/bolshoi_b2017/

 

2017年6月21日現在の情報です。

 

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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