Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのエンターテイメント

世界で活躍する現代美術家、蔡國強「宇宙遊―<原初火球>から始まる」 国立新美術館 8月21日まで

世界的に知られる現代美術家、蔡國強(さい・こっきょう ツァイ・グオチャン)の日本国内で8年ぶりの大規模個展が、六本木の国立新美術館で開催されています。国立新美術館とサンローランの共催です。蔡國強の作品は、いくら写真で撮っても、残念ながらその魅力をお伝えするのが難しい。大きいというサイズの問題だけではなく、その作品から飛び出してくるエネルギーそのものが作品です。

2008年の北京オリンピックの開会式、閉会式で視覚特効芸術監督を務めていたのは記憶に新しいところ。グッゲンハイム美術館やプラド美術館、ウフィツィ美術館など世界に冠たる美術館で個展を開催しています。

蔡國強は、1957年中国で生まれ、日本の現代美術界でキャリアをスタートさせたことから、日本との関係は並々ならぬものがあります。今回もこの個展に先駆けて、福島県いわき市で、白昼4万発の昼花火を打ち上げました。昼花火とは空にたなびく煙に色をつけたもので、さながら地面と空の間をカンバスにしたかのようです。白い菊、白や黒の波、ピンク色の満天の桜が表現され、東日本大震災で亡くなった命に鎮魂の祈りを捧げ、命への畏敬の念が表わされています。白天花火「満天の桜が咲く日」は、サンローランのコミッションで実施されました。

Photo by Wen-You Cai, courtesy Cai Studio

彼の作品は火薬を使う壮大な表現が特徴です。カンバスは空であったり和紙であったり、鏡やガラスであったり・・。今回の個展では、1986年29歳から95年まで日本で暮らしたときの地元の人たちとの交流や、1991年に開催された個展「原初火球」を軸に、その後の活動が紹介されています。日本を離れてニューヨークに拠点を移してから、数々の国際ビエンナーレに登場し、火薬を用いた独自のスタイルで喝さいを浴びています。

国立新美術館の2000㎡のワンフロアに作品は広がり、一つのインスタレーションのよう。「火薬ドローイング」や、火薬を紙や鏡、ガラスなどの上で爆発させる「火薬画」などが並んでいます。蔡國強の代表作である「外星人のためのプロジェクト」シリーズの外星人とは地球外生命体のこと。国境や東西の壁などは無縁の宇宙からの視点と、私たちは宇宙のかけらなのだという存在を思い起こさせてくれます。

スタジオが独自に開発した人工知能AIも制作に参加しています。これまでの作品、新しい構想スケッチ、屏風絵のフォーマットなど大量の画像や、宇宙や科学に関する最新理論などを送り込み返事を待つ。AIとの対話を通して未来が見えてきます。

LEDを使った大規模なキネティック・ライト・インスタレーション《未知との遭遇》の作品の中は歩き回ることができます。

プレスカンファレンスでは、その作品からは想像もできない温和なお人柄がうかがい知れ、にこやかに温かく日本語で丁寧に話してくれました。

蔡國強 宇宙遊ー<原初火球>から始まる 国立新美術館 2023年8月21日(月)まで 10時~18時*金・土曜日は20時まで(入場は閉館の30分前まで)

*2023年8月15日現在の情報です*記事写真の無断転載を禁じます

 

 

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

https://cross-over.sakura.ne.jp/

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

おすすめのたしなみ