Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのエンターテイメント

ドキュメンタリー映画「アンドレ・レオン・タリ― 美学の追求者」3月17日(金)~

US版『VOGUE』の元編集者でファッションジャーナリストのアンドレ・レオン・タリ―の姿を、一度は目にしたことがあるだろう。ケープを纏った大柄な黒人男性で、ファッションショーの時、最前列で、よくアナ・ウィンターの隣に座っていた。彼はアフリカ系アメリカ人初のVOGUEクリエイティブ・ディイレクターだった。残念なことに2022年1月に他界している。そのアンドレ・レオン・タリ―のドキュメンタリー映画がBunkamuraル・シネマで公開される。

©︎Rossvack Productions LLC, 2017. All Rights Reserved.

マーク・ジェイコブスやイヴ・サンローラン、トム・フォード、カール・ラガーフェルド、ヴァレンティノ・ガラヴァーニ、VOGUE編集長として名高いアナ・ウィンター、女優のウーピー・ゴールドバーグなどが彼を語る。

彼の人生の軌跡は、集められた豊富な記録資料の中からも映し出される。アパートの一室で開かれたショーのときは、まだ新人の風情。さまざまなところで、様々な人たちとふれあい、ファッション業界で最高の地位まで上り詰めた。人種差別が色濃く残る時代のアメリカ南部で幼少期を過ごした彼が、いかに存在感を出していったのか。

思慮深く知的な彼の発する言葉が印象的だ。「祖母から教わったのは尊厳と価値基準一流を目指すこと」。彼のファッション哲学や、生きざまに、どれほど多くの人が憧れ、そして力づけられたことだろう。

彼の人生は、きっとイバラの道だったに違いない。南部でメイドとして働く祖母と暮らす日々。彼にとって、美しいものは現実を忘れることができる瞬間だった。名門大学に通い、フランス語は完璧。繊細な内面とは別に、ふるまいもファッションも大胆だった。彼の才能は多くの人を惹きつけ、多くの経験を積むことができ、また彼の人柄も愛された。

「スタイルは自分らしくいられる喜び」「おしゃれはマナー」「ファッションは気分を上げるもの」と語り、自らのおしゃれで、まわりの人たちにも冒険する勇気を与えた。

『メットガラ ドレスをまとった美術館』のチームが手掛け、監督・製作はケイト・ノヴァック。

これからも自分の思うおしゃれをしていいんだ。うんとおしゃれをして気分を上げていこう。さあ、胸を張って!

 

ドキュメンタリー映画『アンドレ・レオン・タリ― 美学の追求者』2023年3月17日(金)~Bunkamuraル・シネマにて公開 HP:https://www.bunkamura.co.jp/cinema/lineup/23_andre.html

*2023年3月16日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます。

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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