Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

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紳士のためのエンターテイメント

国立劇場5月文楽公演は、人形浄瑠璃三大名作の一つ『菅原伝授手習鑑』(5月11日~30日まで)」 通し狂言のスタートです

江戸時代(1746年)、人形浄瑠璃の全盛期に『菅原伝授手習鑑』は初演されました。このころ『義経千本桜』『仮名手本忠臣蔵』と次々に名作が誕生しています。

菅原伝授手習鑑』は、平安時代に政治家だった右大臣・菅原道真が、左大臣・藤原時平に陥れられ京都から九州の太宰府に左遷された史実が元になっています。さらにそこに、当時大阪で三つ子が生まれてめでたいと話題になったこともあり、三つ子も登場します。

全5段で、3段目の「車引」「賀の祝」、4段目の「寺子屋」は、単独で上演されることもある人気の演目。一夜にして梅が大宰府に飛んだという「飛梅」伝説や、天神様につきもの木像や牛などが舞台に登場するのも楽しみの一つです。今回は、通しで上演されるという贅沢な企画です。

「加茂堤の段」(左)苅屋姫:吉田簑紫郎 (右)斎世親王:吉田玉勢  提供:国立劇場 撮影:小川知子

第一部(10時45分~13時23分予定)は、通し上演の初段で「大内の段」「加茂堤の段」「筆法伝授の段」「築地の段」から。

物語の発端は、帝が病に臥せっていたため、人徳者の菅原道真(作中では菅丞相かんしょうじょう)と、藤原時平(しへい)の2人で政を司ることになったところから始まります。時平は、自分が帝にとって代わろうと虎視眈々と狙っています。高潔な菅丞相との対照的な人物像が描き出されます。

三つ子の梅王丸は菅丞相に、松王丸は時平に、桜丸は帝の弟で斎世(ときよ)親王の牛車の世話をする舎人(とねり)となって仕えています。

加茂堤の段」では、牛と牛車も登場。加茂神社での斎世親王と菅丞相の養女・苅屋姫(かりやひめ)の密会が描かれます。実際には、道真の娘が親王の妃となったことから、菅原氏が天皇家と縁戚になったのが藤原氏の不興を買い、左遷へとつながったと言われています。

筆法伝授の段」は初段の山場。菅丞相の屋敷の、梅の大きな襖絵が見事です。太夫は、先日インタビューさせていただいた竹本織太夫(記事はコチラ)。菅丞相の人形の使い手は、この段から吉田玉男。風格と教養のある道真のたたずまいが見事です。帝から菅丞相の名筆の筆法を伝授するように勅命を受け、かつて屋敷で働いていた武部源蔵と女房の戸波に譲り渡します。

「筆法伝授の段」菅丞相:吉田玉男  提供:国立劇場 撮影:小川知子

築地の段」で菅丞相は、流罪を申し渡されます。斎世親王と苅屋姫の出奔は、娘を后にして親王を帝位につけようとする陰謀だと、時平が帝に讒言したのです。菅丞相は、一切の弁明をせず蟄居の身となるのですが、お家が絶えてはいけないと、武部源蔵と戸波は、菅丞相の若君である7歳の菅秀才を屋敷から脱出させ預かることにしました。

続きの二段目は、第二部(14時~17時12分予定)です。早く見たい!

*2023年5月14日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます。

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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