Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

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国立劇場 文楽鑑賞教室「国性爺合戦」2025年12月 東京芸術劇場にて

今回の公演は、東京・池袋の東京芸術劇場です。ここで開催するのは初めて。平日の夜の回に伺うと18時からという時間のためか、池袋という場所がよいのか、あるいは映画『国宝』で、伝統芸能が注目されているのか、客席がほぼ埋まっていました。

演目は、『万才(まんざい)』、『解説 文楽の魅力』、『国性爺合戦(こくせんやかっせん)』楼門の段、甘輝館(かんきやかた)の段、紅流しより獅子が城(べにながしよりししがじょう)の段です。

Bプロ『国性爺合戦』紅流しより獅子が城の段

 

まずは『万才』という四季を描いた『花競四季寿』の中から春の場面の舞踊です。正月の門松が立つ京都の町並みを背景に、2人の芸人がやってきて、新春を祝い舞います。笛や太鼓の音がなり、お祝い気分で、商売繁盛、子孫繁栄。来年はどんな年になるのでしょうか。

続いて、お待ちかね「解説 文楽の魅力」。解説は私の行ったBプロでは義太夫の豊竹亘太夫が担当しました。簡単に人形浄瑠璃の歴史と、ユネスコの世界無形文化遺産であることなどを話し、義太夫と三味線の2人で語り分けを演じてくれました。10代の女性、年配の女性、武士と3通りを語り、会場から納得のため息が漏れていました。三味線は伴奏ではなく、場面の情景や喜怒哀楽を表現する重要な役割を果たしていることなどを解説します。

そして『国性爺合戦』です。近松門左衛門の書いた時代物『国性爺合戦』は、上演当時、大変な評判となって17カ月もロングランされました。あまりの人気に翌年には京都で歌舞伎に移され、その後、江戸でも上演されたほどです。

主人公は、中国人の父と日本人の母を持つ青年、和藤内(わとうない)。実在の英雄で明国再興に尽力した鄭成功がモデルです。全五段の作品の中から、今回は三段だけの上演です。

肥前の国から中国大陸に渡り、腹違いの姉の夫で元明国の将軍甘輝を味方にしようと訪ねます。今回は上演されませんが、そこに行くまでに竹やぶでトラを狩る場面が面白いので、機会があったらご覧ください。

甘輝のお城がいかにも中国的で赤い柱に、雷紋模様、異国情緒が漂います。城の中に入れるのは縄をかけられた母親だけ。その母親が、外から帰ってきた甘輝に、味方になってほしいと頼むと、元々先祖が明の家臣だったため味方なのだというのですが、韃靼王から和藤内の征伐を命じられているから「はい、そうします」とは言えない立場。妻の縁だからとすぐに寝返るのは、武人の恥と言い、まずは妻を殺すと剣を突きつけます。それを阻む母。

Bプロ『国性爺合戦』楼門の段

甘輝が味方しないのを知った和藤内は、城内に踏み込み、一触即発になったときに、姉は「味方になってほしくて自分を刺した」と苦しい息の下で明かします。息絶える妻を見た甘輝は、和藤内に頭を下げて味方をすると仰ぎます。母は、娘ばかりを死なせるわけにはいかないと自害します。和藤内と甘輝は、明の復興のために力を合わせることを誓うのでした。

Bプロ『国性爺合戦』甘輝館の段

文楽も歌舞伎も、オペラにしても、あまりにも救われない悲しい場面が多く、どうして死ななきゃならないのかわからない理不尽さでいっぱいになります。

「鑑賞教室」はプログラムが無料でついているのが嬉しいところ。社会人のために開演時間を夕方にした「大人のための文楽入門」(12月5日(金)6日(土))と、2016年度から始まった外国人向けの公演「Discover BUNRAKU-外国人のための文楽鑑賞教室―」(12月17日(水))も開催されます。「鑑賞教室」ということで若手の技芸員さんたちがたくさん出ていましたが、芸を磨き、さらに精進して伝統芸能を継承してくださいますように。

文楽鑑賞教室 12月4日(木)~18日(木) 東京芸術劇場プレイハウス HPはコチラ
*2025年12月6日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます*写真はすべて提供:国立劇場、撮影:田口真佐美(Bプロ)

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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