Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

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新国立劇場バレエ団 3本立て「バレエ・コフレ 2026」

20 世紀珠玉の作品を組み合わせた3本立て(トリプル・ビル)バレエが2026年2月5日[木]~2月8日[日]に開催されました。「コフレ」は「宝石箱」を意味するフランス語で、一つひとつの作品の個性が際立ち、それぞれ全く違った魅力があります。1度に3つの世界を味わえる豪華な公演です。

最初の『A Million Kisses to my Skin』は、人の身体の美しさに驚きを禁じえません。

英国の振付家デヴィッド・ドウソンの作品で、初演は2000年のオランダ国立バレエでした。バッハのピアノコンチェルトにのせて踊り、シンプルな衣装が、人の身体の美しさとダンスの動きを際立たせます。

写真提供:新国立劇場バレエ団「バレエ・コフレ 2026」『A Million Kisses to my Skin』撮影:鹿摩隆司

次にオランダの巨匠ハンス・ファン・マーネン振付の『ファイヴ・タンゴ』。新制作です。マーネンが、現代タンゴで知らない人はいないピアソラの音楽に惹かれ振り付けしました。1977年にオランダ国立バレエで初演されて以降、世界中のバレエ団で上演さえ続けています。物悲しいアコーディオンの音色と、力強いダンス、そして黒と赤の強烈な色の衣裳が印象的です。タンゴ好きな私は、妖艶なダンスを想像していましたが、それとは違っていました。

写真提供:新国立劇場バレエ団「バレエ・コフレ 2026」『ファイヴ・タンゴ』撮影:鹿摩隆司

吉田都監督が就任当初からレパートリー入りを計画していた作品で、とてもスタイリッシュです。新国立劇場では2022年に上演を予定していましたがコロナ禍で延期となり、このたび待望のレパートリー入りを果たしました。残念なことに、昨年12月にマーネン氏が逝去されたのを受けて、最後に舞台上にマーネン氏の大きな写真が掲げられ、ダンサーたちが写真に向かって全員で礼をします。「あなたの才能があって、ここに素晴らしい作品があります」。

新国立劇場では、 2014年にマーネンの代表作の一つ「大フーガ」を上演しています。

 

最後が、バランシンの『テーマとヴァリエーション』。豪華な衣裳で、完成された美しさを見せます。バランシンが1947年に発表した作品だと聞くと、第二次世界大戦後まだ2年しかたっていない頃のこと。バランシンは帝政ロシアで生まれ育ち、前衛振付家として活躍した後、ヨーロッパからアメリカへ移り住みました。この作品には、チャイコフスキーと帝政ロシア・バレエへのオマージュが流れているようです。チャイコフスキーの「管弦楽組曲3番ト短調」の最終楽章を音楽に、ステップや身体の動きでチャイコフスキーの音楽を細かく表現します。華やかなチュチュを着て踊る王女と王子のような様相の主役を演じるプリンシパルの男女。優美で繊細で、品格高い作品です。新国立劇場バレエ団では2000年の初演以来再演を重ね、アンサンブルの美しさで高い評価を受けています。あのスピードで、あの高さで交錯するのは、かなり難易度が高そうです。圧巻の舞台でした。

写真提供:新国立劇場バレエ団「バレエ・コフレ 2026」『テーマとヴァリエーション』Theme and Variations Choreography by George Balanchine © The George Balanchine Trust 撮影:鹿摩隆司

全幕バレエとは違う楽しみがある、トリプルビル。各作品にプリンシパルを始めとしたダンサーたちが次々に登場してくるところも見どころです。

*2026年2月8日現在の情報です *記事・写真の無断転載を禁じます

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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