Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのエンターテイメント

イタリアの人気オペラ「ラ・ボエーム」新国立劇場

今回の新国立劇場オペラ「ラ・ボエーム」のプロダクションは、実に調和がとれていて美しい舞台です。2003年に粟國淳の演出で制作され、今回で7度目の上演。各幕の冒頭の紗幕に映し出された絵を見るだけで、観客は一気にパリへといざなわれます。

衣装は、イタリアの名匠アレッサンドロ・チャンマルーギ。ミミ役に、初来日のアレッサンドラ・マリアネッリ、ロドルフォにスティーヴン・コステロ。見た目も美男美女のカップルは、純粋な愛に燃える可憐な恋人同士の役にピッタリです。

撮影:寺司正彦 提供:新国立劇場

特に素晴らしかったのがコステロ。素直で、フレッシュで艶やかにのびやかな声で歌い上げます。もうひとつの恋人同士が、ムゼッタ役のヴァレンティーナ・マストランジェロとマルチェッロ役の須藤慎吾。嫌味がなく、ストンと役柄にはまります。さらに、同居する友人ショナール役の駒田敏章、コッリーネ役のフランチェスコ・レオーネと、彼らは本当に友達なのではないかと思えるほどのいい雰囲気です。それぞれの役にピッタリの若手実力派がキャスティングされていました。

撮影:寺司正彦 提供:新国立劇場

 

新国立劇場開場25周年記念ということから大野和士芸術監督が自ら指揮を振りロマンティックでドラマティックに大きなうねりをもったオーケストラに誘導され、物語を堪能させてくれました。

ラ・ボエーム」は、プッチーニ作曲の4幕オペラで、ドラマと音楽が一つに溶け合う傑作です。物語はわかりやすく、身近な話題であることも人気の理由のひとつでしょう。若い2人が出会い愛し合い、しかし女性は病を患っていて息絶えます。

第一幕は、若いアーティストたちが暮らす屋根裏部屋。貧しくても希望に燃えています。第二幕は、クリスマス・イブのカルチェラタン。ラッパの音で始まり、新国立劇場合唱団のレベルは相変わらず高く、TOKYO FM少年合唱団の子供たちの声も楽しく、元気よく舞台を歩く鼓笛隊も含めて100人を超える出演者たちが、華やかです。

撮影:寺司正彦 提供:新国立劇場

 

第三幕は、雪が降る静かな場所で2人の切ない別れの場面です。そして第四幕で冒頭の屋根裏部屋に戻ります。

撮影:寺司正彦 提供:新国立劇場

有名な曲はミミのアリア「私の名はミミ」。自分のつつましい生活をロドルフォに告白します。ミミとは対照的な派手で奔放なムゼッタのアリア「私が街を歩くと」は、いかに自分が魅力的かを歌います。ロドルフォの「冷たき手を」で、コステロは観客の心をしっかりとつかみました。

130年もの長きにわたって愛され続ける名作も、プロダクションによってさまざま。新国立劇場では今回初めて、7月2日にライブ配信を行った映像を7月16日から8月12日の期間限定でオンデマンド配信(1980円税込)を行います。東京にいなくても、何時でも、気軽に観られるオンデマンド配信が、どのぐらいの臨場感があるか、今から楽しみです。

オンデマンド配信についてはコチラをご覧ください。https://www.nntt.jac.go.jp/opera/news/detail/6_025105.html

*2023年7月5日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます。

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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