Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

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静嘉堂創設130周年 新美術館開館記念展「響きあう名宝 曜変・琳派のかがやき」

世田谷区岡本にあった静嘉堂文庫が移転し、丸の内にやってきました。丸の内のオフィス街に美術館を置くのが、岩崎彌之助の構想だったそうです。念願かなって今、丸の内仲通りにある重要文化財・明治生命館の1階でオープンしました。

和漢の古典籍約20万冊と、東洋の古美術品約6500件を所蔵している静嘉堂、開館記念展第一弾は「響きあう名宝 曜変・琳派のかがやき」。国宝7件が前後期に分かれて展示されます。目玉はやはり、国宝・曜変天目(稲葉天目)でしょうか。

国宝 《曜変天目(稲葉天目)》 南宋時代(12-13世紀)

入り口を入ると、自然光が差し込む天上高のホワイエを取り囲み4つの部屋があります。

三菱創業者・岩崎弥太郎の弟、岩崎彌之助は国の宝が流出しないように、蒐集をしたのだそうです。廃刀令で市場に出てきた刀剣や、茶道具で最初に収集したと言われているのは、大坂夏の陣で罹災し大破した《唐物茄子茶入 付藻茄子・松本茄子》。見事な漆繕いで、壊れていたとは、にわかには信じられません。このお茶入れ《付藻茄子》は、室町幕府三代将軍足利義満から、松永久秀、織田信長、豊臣秀吉へと伝えられ、歴史に名を残しています。大阪城落城後、もしや残ってはいまいかと家康が探索を命じ、破片を見つけて仮継ぎしたのだとか。そのやりとりや、修理された経緯などすべて書き物として残っています。

大名物 《唐物茄子茶入 付藻茄子》南宋~元時代(13-14世紀)

次の章の「中国文化の粋」では、建窯《油滴天目》(南宋時代)が美しい。大きく口を開き、大粒の油滴班が見事です。

建窯《油滴天目》(南宋時代)

ここには、後期展示(11月10日~12月1日)で余崧《百花図鑑》が登場するようで、ぜひ見てみたいですね。

 

俵屋宗達の傑作、国宝《源氏物語関屋澪標図屏風》(前期)、酒井抱一の画帳「絵手鑑」は繊細です。

そして最後が、みなさまお待ちかね国宝《曜変天目》です。英国留学から帰国した岩崎小彌太は、父・彌之助のコレクションの拡充に努めます。彼は中国陶磁の世界的コレクターとして知られ、昭和9年に中国陶磁の至宝《曜変天目》を所蔵します。

昨年「三菱創業150周年記念 三菱の至宝展」の時に見せていただきましたが、やはり美しい。伝存する曜変天目は、世界に3椀しかなく、すべてが日本に伝えられているということです。

徳川三代将軍家光が病気にかかった時、乳母の春日局が薬断ちをして看護をし、その後もずっと薬を飲まなかった。家光は、曜変天目に薬湯をいれて飲まそうとしましたが、襟元に流し込んで約束を守ったのだとか。拝領した器はその後、春日局の元嫁ぎ先だった稲葉家で継承され、それが岩崎小彌太のもとにきました。

最後に季節の《秋草蒔絵謡本箪笥》(江戸時代 17世紀)一基 漆器。漆に秋草の蒔絵が描かれ、その上に謡本の題名が螺鈿で踊っています。

《秋草蒔絵謡本箪笥》(江戸時代 17世紀)一基 漆器

丸の内の新スポット、お昼休みにふらりと立ち寄りたいところです。

今後の予定はコチラHP:https://www.seikado.or.jp/

静嘉堂@丸の内「響きあう名宝」曜変・琳派のかがやき 東京都千代田区丸の内2-1-1 明治生命館1階 2022年10月1日~12月18日

*いずれも、静嘉堂文庫美術館蔵*2022年10月1日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます。

 

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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