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紳士のたしなみ

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紳士のためのエンターテイメント

ユネスコ無形文化遺産 特別展「体感!日本の伝統芸能―歌舞伎・文楽・能楽・雅楽・組踊の世界―」

ユネスコの無形文化遺産に登録されている5つの日本の伝統芸能を感じてもらおうという展覧会が東京国立博物館表慶館で開催されています。衣裳や小道具、楽器などを間近かに見ることができる上に、貴重な映像なども流されていて、好きな人にとっては、その世界をますます知りたくなる機会となっています。

 

文楽『義経千本桜』道行初音旅 静御前

 

まず第1章は、歌舞伎

踊りは元々呪術的なものでしたが、それを芸能として見せたのは、出雲阿国だったのは皆様ご存じのとおりです。女性が演じるものだったのが、時代と共に男性の演じるものになり、今に至ります。歌舞伎ならではの舞台美術や衣裳の華やかな色彩、型を見せる様式美は、観客をワクワクさせます。

ここでは、『金門五山桐 南禅寺山門の場』の舞台が再現されています。また、役者の顔の隈取を布などに押し当てた「押隈」は、ひいき筋に配る枚数だけつくったということなど、知識欲も満たされます。

京鹿子娘道成寺」「藤娘」などのきらびやかな衣裳も見事です。何十キロもある衣裳を着けて重いかつらをつけると、かなりの重量になり、見栄を切り、踊り、演じる役者は、アスリートのようだと、以前インタビューした市川右團次さんに伺ったことを思い出しました。記事はコチラ

第2章は文楽

義太夫節にあわせて人形を遣う人形劇は、江戸時代初期に大阪で生まれました。人気演目『義経千本桜』の舞台が再現されています。浄瑠璃を語る太夫の熱演や、三味線の音が文楽の世界へといざないます。

国立劇場に文楽を見に行くと、字幕がでるようになっているのには驚きました。人形遣いの名跡、2代目吉田玉男さんの楽屋をお訪ねしたときのこと、舞台の裏を歩かせていただくと、舞台上で今まで生きて動いていた人形たちの魂が抜けていて、不思議な気がいたしました。

 

第3章、能楽

鎌倉時代は、寺社の祭祀にささげられていましたが、それが芸術として独立しました。厳粛で優美な仮面劇である能と、笑いの要素が強い会話劇の狂言。能は、衣裳や面もさまざまな意味を持ちますので、知れば知るほど興味深く鑑賞できます。

能『岩船』天探女

観世流能楽師重要無形文化財総合指定保持者の勝海登さんの所に取材に伺った時、昔から伝わる衣裳や面を見せていただき、かつてお使いになった方々の汗と息遣いが残っていると伺いました。記事はコチラ

また、能楽笛方藤田流十一世宗家重要無形文化財総合指定保持者の藤田六郎兵衛さんに家に伝わる430年前の笛を吹いていただいたときは、まるで天と交信しているようでした。記事はコチラ

作品の演出や解釈を新たな視点でとらえる「能・狂言を再発見する」が3月25日・26日に復曲能「岩船」を上演するそうです。

 

第4章、組踊

琉球王朝の歌と踊りを織り込んでドラマが進行する音楽劇で、演じるのは宮廷につかえる士族やその子弟たちでした。残念ながら私はご縁がなく、本物を鑑賞したことがありません。

 

第5章、雅楽

5世紀から9世紀にかけて中国や朝鮮から伝来した楽舞を、日本において整理・集成した古代の宮廷芸能です。独特な楽器の音色が、響きます。昨年末「日本舞踊とオペラの共演 やまとの季」が開催され、そのときに舞とコラボレーションした雅楽がまだ、耳の記憶に鮮明に残っています。記事はコチラ

展覧会をぐるりと回ると、自分がいかに伝統芸能好きかに気づかされます。そして、それぞれの世界をもっと深く知りたくなり、すぐにも公演に出かけていきたくなりました。できれば、演じてみたい(笑)。

 

ユネスコ無形文化遺産 特別展 体感!日本の伝統芸能 歌舞伎・文楽・能楽・雅楽・組踊の世界」 2022年1月7日(金)~3月13日(日)*会期中、展示替えあり 東京国立博物館 表慶館 *事前予約(日時指定券)を推奨しています 

HPはコチラ HPをご確認の上、お出かけください。

*2022年1月12日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます。

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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