Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのお出かけエンタテインメント

新国立劇場 ヴェルディ「リゴレット」

道化師リゴレットの救われない、哀しい物語です。富と権力で遊び歩くマントヴァ公爵を喜ばせるためには何でもする道化師リゴレット。マントヴァ公爵は、さながら報道されている英国国王の弟、アンドリュー元王子のようです。遊興の限りを尽くし、次々に女性たちを我が物にしていきます。リゴレットにとって何より大切なのは純粋無垢な娘。魔の手にかからないように細心の注意を払っているのですが・・・。

演出は、エミリオ・サージ。2022/23シーズンに新制作したものの再演です。これほど強烈な舞台美術だったかしらと、目を疑いました。幕が上がると、赤と黒の色調の舞台に、荒涼とした砂漠のような所に屍が累々と転がっているように見えます。なんとも寒々しい雰囲気です。それが一転、あかりがつくと公爵家の宴の席に変わります。

その邸宅の主、マントヴァ公爵に大スター、ローレンス・ブラウンリー。これがヴェルディオペラデビューだということです。声が明るく華やかで、色事師の悪に染まっていないすがすがしさ。相手になる女性たちはみんな彼を好きになってしまうのです。

リゴレット役にヴェルディ・バリトンとして世界に知られるウラディーミル・ストヤノフ。新国立劇場には9年ぶりの登場です。ストヤノフは、2019年にヴェルディの生地パルマにある権威ある機関から、ヴェルディ音楽への貢献を認められ、「ヴェルディの騎士」の名誉称号を授与されました。人生経験をたっぷり積んだ40歳まではリゴレットは歌わないと決めていたのだとか。悲しみや孤独、周りから相手にされず辱めを受け続ける苦悩など、さまざまな感情が入り混じる歌声を出すためには、積み重ねるものが必要なのでしょう。

そして娘ジルダには、みんな大好き中村絵里。中村は、新国立劇場研修所修了生で、ヨーロッパに渡り、現在世界で活躍しています。日本でジルダを演じるのは初めてです。指揮はダニエレカッレガーリ

安心して聴いていられる、実に完成度の高い舞台でした。

「女心の歌」「慕わしき人の名は」「悪魔め、鬼め!」など有名なアリアもたくさん登場します。とくに「女心の歌」は、曲調は明るく楽しいのに、このような場面で歌われていたのかと、改めて感じ入りました。

 

新国立劇場「リゴレット」2026年2月18日~3月1日 

*2026年2月23日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます *写真はすべて撮影:堀田力丸 提供:新国立劇場

 

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

https://cross-over.sakura.ne.jp/

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

おすすめのたしなみ