Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

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新国立劇場オペラ「椿姫」 噂のロペス・モレノ

乾杯の歌」の時に飲んでいるのは、最高級のシャンパーニュ「ドン・ペリニヨン」。グランドピアノの上に乗って、ボトルを掲げ、グラスに注ぐ主人公ヴィオレッタ、ロペス・モレノは、新国立劇場初登場です。ドイツ生まれでボリビアとアルバニアの血を引くロペス・モレノは、美貌で力強い声の持ち主です。2022年から世界の大舞台に出演し始め、いまや引っ張りだこのスターになりました。

まだまだ、粗削りですが、きめ細かく情感を乗せて演じていけば、さらに物語に没入できるはず。楽しみな新星です。

物語は、パリ社交界の華、高級娼婦ヴィオレッタが、純朴な青年アルフレードに出会い愛を告白されるところから始まります。パリ郊外で、2人で静かに暮らしていると、そこにアルフレードの父親がやってきます。アルフレードの妹の縁談をまとめるために、アルフレードと別れてほしいと頼みに来たのです。アルフレードのもとを去るヴィオレッタですが、事情を知らないアルフレードは、怒り、夜会の席でヴィオレッタを侮辱します。一カ月後、結核で死の床についているヴィオレッタ。薄布の向こうには、愛するアルフレードが許しを乞いにやってきます。見守られながら、ヴィオレッタは最期の時を迎えるのでした。

指揮は、レオ・フセイン。今まで聴いたことがないテンポの箇所が数々あり、独自の解釈が見られます。舞台は、どの場面でもグランドピアノが象徴的に使われます。

ヴィオレッタの衣裳が美しく、ロペス・モレノに見事にフィットしていました。出会いの華やかなパーティ場面の真っ赤な薔薇のようなドレス、次の、アルフレードと幸せな時間を過ごす桜色のふんわりとキュートなドレス、アルフレードと別れた後、再会するパーティのシーンは真っ黒。そして病が進行した時の透け感のある白いドレスです。それぞれの心の内を象徴的に彩ります。

原作は、著者アレクサンドル・デュマ・フィス。彼が、自らのマリー・デユプレシとの恋愛を元に描いた小説です。最後のシーンで病床にアルフレードがやってきますが、ヴィオレッタの夢の中での出来事かもしれないという含みが、ヴィオレッタ以外の登場人物たちが全員、薄布の向こうにいるところに見られます。

日本ロッシーニ協会の水谷彰良会長所蔵の、貴重な資料が会場に展示されていました。スケッチや、初版楽譜などを見ることができます。素晴らしい保存状態に感心すると同時に、この楽譜で演奏できるのかしら・・と驚きますよ。

ちなみに、ホワイエで提供されるシャンパーニュの銘柄を伺ったところ、「ドン・ペリニヨン」ではなく、老舗メゾンの「ローラン・ペリエ」のスタンダードクラスのブリュットタイプ「ローラン・ペリエ ラ キュヴェ」でした。英国王室御用達として知られるブランドです。

さぁ、「乾杯の歌」を歌って、あなたも一杯いかがですか。

*2026年4月4日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます*写真はすべて提供:新国立劇場 撮影:堀田力丸 HPはコチラ

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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