Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
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紳士のためのエンターテイメント

グッチ一族の真実が描かれる 映画「ハウス・オブ・グッチ」

ラグジュアリーブランド「グッチ」の創業家一族3代目社長マウリッツィオ・グッチ暗殺事件を描いている。これが実話だというから恐ろしいことこの上ない。野望、裏切り、嫉妬、暗殺の物語である。監督は、「エイリアン」「グラディエータ―」などのリドリー・スコット。サラ・ゲイ・フォーデンのノンフィクションを基に映画化した。そのパトリッツイアを演じるのが、「アリー/スター誕生」でアカデミー賞主演女優賞候補になったレディー・ガガである。

©2021METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC.ALL RIGHTS RESERVED.

グッチを知らない人はいないだろう。グッチは、グッチオ・グッチが100年前にイタリアフィレンツェで創業し、高級レザーグッズ店としてスタートした。

グッチオの息子アルドアル・アルパチーノ)が中心となって、その弟ロドルフォジェレミー・アイアンズ)とともにビジネスをまかされていた。物語は、上昇志向の強い野心家のパトリッツィアレディー・ガガ)が、育ちの良い裕福で格式のあるグッチ家のロドルフォの息子マウリッツィオアダム・ドライバー)を射止めるところから動き始める。マウリッツイオは、堅実に弁護士を目指し、事業に興味はなかった。野心家で派手好きなパトリッツイアが近づいてくると、住む世界が違うと父親は反対するが、マウリッツィオは、奔放な彼女に翻弄され、まきとられていく。妻の座を手に入れた彼女は、今度はビジネスを手に入れようと画策し始める。この強大なビジネスを自分のものにしようと策略をめぐらし、実質上のトップ叔父であるアルドに取り入り、さらにその息子パオロジャレッド・レト)を追い出す作戦に出る。家業を継ぐことにまったく関心のなかった夫を説得し、中枢に入り込むも、あまりの支配欲の強さに夫は辟易してしまう。そんなとき、マウリッツィオは幼馴染と出会い恋に落ち、パトリッツィアとの離婚を決意。彼が自分の元へ戻ってこないとわかり、殺害を決意する。

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あまりの野心の強さに、自分自身も振り回されてしまうパトリッツィアをレディー・ガガが好演。それにしても、強欲さは自分をも滅ぼすのだ。だんだん夫を愛しているのか、ブランドを愛しているのか。あまりに、欲が深すぎて見えなくなってしまったのではないか。パトリッツィアが哀れでならない。

楽しめるのは、レディー・ガガの衣裳だ。美しいものが好きで、ファッショニスタのパトリッツイアは、常にエレガントでセクシーな装いをしている。GGモチーフのスーツ、アルドの誕生日パーティのときの白いレースのアンサンブル、

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大ぶりなゴールドのネックレスやブレスレットに、目が釘づけだ。全部で70スタイル用意したと言うが、そのうち2スタイルがグッチのアーカイブコレクションから提供されている。

そのうちのひとつがグッチ銀座3階に1月31日まで展示されているので必見だ。アイコニックなGGキャンバスに同系色のレザーを配したチュニックは1969年のもの。70年代のスクエアなシェイプの「G」ロゴパターンのバッグ、90年代のバンブーバッグやメタルバッグなども展示されている。

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現在のグッチ経営陣の中には、一族の人間はいない。

 

2022年1月14日全国公開 HP:https://house-of-gucci.jp/

*2022年1月23日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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