Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
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リピートしたくなる「箱根ガラスの森美術館」 

ヴェネチアン・グラスの所蔵品が1000点余り常時100点ほどが季節によって展示替えされる「箱根ガラスの森美術館」の春季所蔵作品展(1月21日~4月16日)のテーマは、カーニバルです。

ヴェネチアの街が、一年間で一番華やかになるカーニバルは世界的に知られ、多くの観光客が訪れます。子供たちは仮装をし、大人は18世紀の貴族の衣裳に身を包み、仮面をつけて街中を歩き回る。街角では、即興芝居が行われ、夜になるとあちこちでパーティが開かれます。かつては仮面をつけることで階級や性別、年齢などから解放され、楽しみました。カーニバルは、2月下旬から2週間続き、同じ時期「箱根ガラスの森美術館」でも入館チケットが仮面の形をしたものに変わります。さぁ、ヴェネチアを楽しみましょう。

箱根ガラスの森美術館」は、遠くに噴煙を上げる大涌谷を望み、庭園の随所にクリスタル・ガラスのオブジェが装飾され、太陽光を受けたきらめきが、この世のものとは思えない美しさを見せてくれます。なんて清々しい空気、なんというクリスタルの輝きでしょう。

「庭園も季節ごとに違った装飾になります。いまは桜を思わせる緑とピンク色のガラスがきらめいていますが、季節が変わるとオブジェごと替えられ、夏はアジサイ、秋はススキ、冬はクリスマスツリーと、さまざまな装飾をお楽しみいただけます」と語るのは、総支配人の津軽誠一さん。

ここに、ヴェネチアン・グラスの専門美術館ができたのは、1996年のことでした。

皆様ご存じ、レストラン「うかい亭」の一角に、ガラス作品が展示されているのに気づかれる方も多いと思いますが、その「うかい」の創業者が「美味しいご飯のごちそうとあわせて、心のご馳走を」という思いでこの美術館をつくりました。さらに、ガラスは火でつくる「炎の芸術品」だから、大涌谷が見える箱根に場所を見つけて開館ということになりました。展示品も商品も、ほとんどがヴェネチアのものであることにこだわっています。

美術館に展示される歴史のあるヴェネチアン・グラスの数々は、噂によるとヴェネチアにある美術館にも劣らない、充実した作品がそろっているのだとか。

ヴェネチアン・グラスは、ヴェネチアのムラーノ島でつくられた繊細で優雅な工芸品です。展示室ではどこを見回しても、ため息の出る作品ばかりで、いくら時間があっても足りません。

 

見逃してはならないのは、「点彩花文蓋付ゴブレット」(1500年頃ヴェネチア)。イタリア貴族の館に長年受け継がれた後、ロスチャイルド家に伝えられ、いまここにあります。

 

濃紺の透明なガラスの上に施されたイスラムから伝わったエナメル彩による点彩文様と、ビザンチン様式の器の形は、東西文化交流の要として繁栄したヴェネチアを象徴しています。金泥も見事です。

また、レース・グラスは、手間のかかる複雑な技巧を凝らしてつくりあげられています。15世紀の王侯貴族が愛したレースを模し、ガラスで再現できないかと試行錯誤を重ねて発明されたのがレース・グラスです。この技法はヴェネチアのムラーノ島における門外不出の秘密として守り続けられてきました。

また、近現代の作家になりますが、19世紀末から20世紀初頭に活躍したガラス職人ジュゼッペ・バロヴィエールの、「風にそよぐグラス」。いまは、大切にガラスケースに入っていますが、そばを歩くたびに揺れるのだと聞きました。

一息つくには、向こうに箱根の山を見渡せる庭園内のカフェ・レストラン「カフェ テラッツアうかい」。「うかい」の、切りたての特撰牛「ローストビーフ」と、スパークリングワインをいただきながら、陽の光を感じる時間は、都会の忙しさから解放された至極のひと時です。一日6回ある、イタリア人ピアニストなどによる生演奏の中で、家族や友人と過ごす時間は特別なものになるでしょう。

カフェタイムには「しぼりたてモンブラン」を召し上がれ。

細く長く絞り出したモンブランクリームが取り巻く大きなデザートは、これひとつでお腹いっぱいになりそう。一日遊んで、帰りは夕暮れになってしまいました(笑)。閉館時間は17時半です。

「箱根ガラスの森美術館」開館時間10時~17時半(入館は17時まで)毎年1月中旬のメンテナンス休館日以外は年中無休

神奈川県足柄下郡箱根町仙石原940-48 HPはコチラhttps://www.hakone-garasunomori.jp/

新宿バスタから小田急箱根高速バスで1本。施設の駐車場内にバス停があります。

*2023年2月23日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます。

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

https://cross-over.sakura.ne.jp/

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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