Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのエンターテイメント

「祈り・藤原新也」 世田谷美術館で始まりました

藤原新也とは何者なのか。写真家?思想家?書家?作家?ご本人曰く「○○家と、『家』がつかないと、経済的に成り立たない」ということであるが、私には哲学者に見える。

写真を撮るために旅に出るわけではない。カメラを持っていくのは、何かの時に売って金銭に変えるためであって、写真を撮ろうと思っていたわけではない。撮影したのは、自分が美しいと思うもの。自分の魂に呼び掛けてくるものだけを撮っていった。

(C)Shinya Fujiwara  インド2010年 展示してある写真を特別な許可を得て撮影したものです

こんなことを申し上げるのはとても不遜だが、実は私もそう思う。

書くために取材しているわけではなく、見て、聞いて、感じた結果、ほとばしり出るものを書いている。さらに、ライター、ジャーナリスト、司会者、ナレーターと決めつけられると何か違和感がある。あえて言えば「伝える仕事」をしているのだと、胸を張りたい。いや、自分の話をしたいわけではなかった。失礼しました。展覧会に戻ろう。

今回の初めての回顧展には300点余りの作品が出品されている。代表作である「ニンゲンは犬に食われるほど自由だ。」もある。人びとが衝撃を受けた本『メメント・モリ 死を想え』に収蔵されている作品たちも展示されていて、その作品の前に立つと自然と首が垂れる。

通常、マスコミ向け内覧会では作品をどんどん撮影していくのだが、なぜか撮ることがためらわれる。中途半端な対峙の仕方では、申し訳ないような気がしてならないのだ。

藤原氏は語る。「死を見つめる写真家」と言われているが、『生を見つめている』のだ」と。

東日本大震災直後の東北、コロナで無人の町、ハロウインの渋谷センター街、香港の反政府デモ雨傘運動、絵画作品、寂聴さんと交換した書簡、そして「死ぬな、生きろ」という屏風・・。

会場、入ったところにある蓮の花が、命に満ちている。

ポンと開くのを待って、撮影したそうだ。それは命がはじける瞬間であると同時に、なぜか終わりに向かっていく切なさを感じる。彼は言う「奇跡の中に生きている」。

「祈り・藤原新也」

2022年11月26日(土)~2023年1月29日(日)休館日:月曜日(1月9日は開館)、1月10日、年末年始(12月29日~1月3日) 開館時間」10時~18時(入場は17時半まで)世田谷美術館は砧公園の中にあります。世田谷美術館公式ウェブサイト https://www.setagayaartmuseum.or.jp/

一部の作品を除き、会場は撮影可

*2022年11月27日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます。

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

https://cross-over.sakura.ne.jp/

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

おすすめのたしなみ