Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのエンターテイメント

ラフマニノフ生誕150周年 東京フィル5月の定期演奏会(5月14日 渋谷東急Bunkamura)

今年はセルゲイ・ラフマニノフの生誕150周年。それを記念して、東京フィル5月の定期演奏会は、ミハイル・プレトニョフの指揮で、幻想曲『岩』作品7、交響詩『死の島』作品29、交響的舞曲作品45でした。

ロシア人のプレトニョフは、今、スイスで暮らしています。そして昨年、新たに「ラフマニノフ国際管弦楽団」をスロヴァキアで創設しました。

提供=東京フィルハーモニー交響楽団

祖国を愛しながらも離れざるを得ない状況は、プレトニョフもラフマニノフと同様です。プレトニョフはロシアのウクライナ侵攻によって、ラフマニノフはロシア革命によってロシアを離れました。プレトニョフにとってのラフマニノフは、ピアニストとしても指揮者としても、同じロシアの先輩であり、さらにラフマニノフのことを「大天才」だと尊敬しています。

提供=東京フィルハーモニー交響楽団

ラフマニノフは、12、3歳の頃、チャイコフスキーと出会い、大きな影響を受けました。「」は、モスクワ音楽院を卒業した翌年の作品です。チェーホフの短編小説「旅路」に触発されて書かれました。暗く重々しい出だしですが、軽やかにロマンティックに進みます。老男と若い娘の出会いと別れが描かれています。

交響詩死の島」は、スイスの画家であるアルノルト・ベックリンの「死の島」という絵画に着想を得ました。原画ではなく、モノクロのリプロダクションを雑誌で見てのことだそうで、糸杉の立ち並ぶ孤島に、小さな船が近づいています。ベックリンの原画は、ヒットラーが執務室にかけていたことが有名です。死がテーマで、グレゴリオ聖歌デイエス・イレのメロデイがたびたび出てきます。

交響的舞曲」は、ロシア革命後アメリカに亡命した後につくった最後の作品。周りから批判され評判の良くなかった交響曲第一番のモティーフが忍ばせてあります。

19世紀末から20世紀半ばまでの長期にわたる作風の変化を見られるだけでなく、ラフマニノフならではの、情緒的でドラマティックな曲をたっぷり堪能させてもらいました。

プレトニョフはカーテンコールの最後に、譜面に手を置き、尊敬するラフマニノフへの畏敬の念を表しているかのようでした。

提供=東京フィルハーモニー交響楽団

*2023年6月3日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます。

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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