Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
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紳士のためのエンターテイメント

「オペラとウイスキーを嗜むひと時」 新国立劇場『シモン・ボッカネグラ』にて

白州というお酒、人気で品薄と聞きます。日本のウイスキーが今、大人気。シングルモルトウイスキー「白州」を楽しみ、VR蒸留所見学をする体験会が11月18日、新国立劇場で開催されました。

事前に予約をした参加者は、オペラの開演1時間に劇場に集まり、特別にしつらえたスペースに入ります。するとテーブルの上にVR双眼鏡が準備してありました。これで工場見学ができます。サントリー白州蒸留所から2名の担当者がやってきて、解説してくれたり、質問に答えてくれたり。

「ウイスキーは、麦芽と水でつくられ、とくにこの蒸留所のある地は、硬度30度の良質な水に恵まれています」と説明があり、VRでのバーチャル工場見学がスタートです。VR双眼鏡を構え、南アルプスの麓にある森に囲まれた白州蒸留所に入っていきます。自然のなかにある蒸留所は気持ちがよさそう。360度見渡すと、緑に包まれていて新国立劇場に居ながらにして鳥のさえずりが聞こえてきそうです。

仕込、発酵、蒸留といった製造工程をたどり、貯蔵庫、ブレンダーのこだわりなど、映像で見ながら進みます。なんだか、わくわく。工程で特筆すべきは、発酵槽がすべて木樽であること。それによってウイスキーは豊かな味わいに育ちます。

熟成させるのも木樽の中です。5年、10年と時間をかけて琥珀色の原酒になっていきます。さらに驚いたのは、樽職人がいて自社で樽をつくっていることです。貯蔵庫には2万樽が寝かされ、寝かせる位置によっても味わいが変わるのだとか。樽の寿命は50年ということですから、ウイスキーとお別れした後は、コースターやペンの一部としてグッズとなって販売されています。最後がブレンドで、ブレンダーが匠の技でブレンドしていきます。

VR双眼鏡を手元から放し、続いてテイスティング。まずは色を見て、香りをかぎ、ストレートで味わってみます。ワインのテイステイングと同じですね。白州を口に含んだとたん、ぱ~っと華やかな香りに包まれ、なんて贅沢な味わいなんでしょう。そしてほんのり上品な甘さが駆け巡ります。人気の秘密がよくわかりました。次は、「水割りでも試してください」とアドバイスされ飲んでみると、なぜかストレートよりも甘みがたつような味わいです。「ほとんど飲めないけどウイスキーが好き」と言ってらした、隣の方のグラスも減っていました(笑)。幸せ気分でほんわかしたところで、オペラ開演時間がやってきました。

席について、素晴らしいオペラ『シモン・ボッカネグラ』に酔いしれ(ここでも酔ってしまいます・笑)、幕間の休憩時間がやってきました。(『シモン・ボッカネグラ』の記事はコチラ

休憩時間は、おつまみと白州ウイスキーの「森香るハイボール」を楽しみます。おつまみは、蒸留所限定の「たるくんシリーズ」の樽をチップにしていぶした燻製です。鮭とば、ミックスナッツ、そしてチョコレート。現地でしか購入できません。このほか、ベーコンの燻製もあるそうです。私は、白州のあまりの美味しさに、ストレートでおかわりをしてしまいました・・・。恥ずかしい。休憩時間は、たいていコーヒーやシャンパンを飲んだり、おしゃべりをしたりして過ごしますが、こうした楽しみ方も、充実しています。

もとは、コロナ禍で蒸留所見学ができなくなったため開発したサービスで、サントリーの直営レストランや、赤坂本社などで開催していたものを、今回特別に体験させていただけました。演目とウイスキーが絡んでいるわけではありませんが、とても楽しいイベントで、参加された方々、とても満足されていました。20人弱の定員で事前予約制。これに気づいた外国のお客様が、途中で加わりたくて残念そうでした。そうですよねぇ。白州、飲みたいですよね。その気持ちよくわかります。

 

現地のツアー情報は、こちらのHPをご覧ください。

*2023年11月23日*記事・写真の無断転載を禁じます

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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