Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのエンターテイメント

新国立劇場の「巣ごもりシアター」が終ります。

新国立劇場が4月10日から開始している無料配信サービス「巣ごもりシアター」。今までにオペラが6、バレエが3作品上映されてきましたが、いよいよ今月いっぱいで終了です。

2月26日から全公演が中止されたあとオンラインで開催してきた「巣ごもりシアター」は、昨日までにトータルで約22万回再生され、一番人気はバレエ「ドン・キホーテ」、僅差で2位がオペラ「トゥーランドット」。それぞれ約4万回再生されました。

新国立劇場バレエ「ドン・キホーテ」より 撮影:瀬戸秀美

「舞台の力を生きる力に」という思いで始めた「巣ごもりシアター」の最後の週はオペラ『ウェルテル』。丁寧に、大切に拝見したいと思います。

 

さて、この作品は、ゲーテの『若きウェルテルの悩み』をフランスのマスネがオペラ化したもので、新国立劇場では2019年3月21日公演のものです。大野和士芸術監督の「シーズン公演のうち1本はフランス・オペラを」というラインアップのひとつです。

演出は、巨匠ニコラ・ジョエル。ニコラは、『ウェルテル』全体を覆う空気は悲壮感と陰鬱さだ。それゆえ、舞台装置と衣裳のデザインは、ドイツのプロテスタント、とても厳しいルター派の世界観を色調や構造に盛り込むように依頼したと言っています。さらに、自然そのものも重要なファクターだと。

美しく、洗練された舞台をじっくりみたいところです。ウェルテルが自然を讃えるシーンでは、緑に覆われ大樹がうつし出され、木漏れ日さえさしています。

ウェルテル役に、世界の歌劇場で活躍するアルバニア生まれのサイミール・ピルグ。甘やかで端正な演技は目が離せません。世界的スターの藤村実穂子がシャルロット役。この舞台でタイトルロールデビューです。シャルロットの妹ソフィーに、幸田浩子。彼女の人柄そのままの純真で可憐な役どころです。

新国立劇場オペラ「ウェルテル」より 撮影:寺司正彦

オンラインで気軽に最高の芸術に触れることができ、不安でいっぱいな毎日がどれほど救われたか。SNSには、同時に観る「オンライン鑑賞会」を開催しようという話題が飛び交い、同じ作品を共有して、感想を言い合い、共に感動を分かち合っていました。

食べ物が身体の栄養とおなじように、芸術は心の栄養です。これからは新しい芸術とのふれあい方を考えていかなくてはなりません。コロナと共存する暮らし方は、働き方だけでなく人生の楽しみ方も探っていかなくてはならないようです。

生の芸術に触れる機会はけっして失いたくない、と豊かな時間を過ごしてきたことに改めて感謝しています。

 

巣ごもりシアター『ウェルテル』の視聴はコチラから。2020年6月19日(金)15時~26日(金)14時までです。https://www.nntt.jac.go.jp/opera/sugomori-werther/

(おまけ)いまなら新国立劇場のHP「巣ごもりシアター」に行くと、よりすぐりを集めたダイジェスト映像も見られます。

 

2020年6月23日現在の情報です

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

https://cross-over.sakura.ne.jp/

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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