Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのエンターテイメント

「サントリー美術館コレクション展 名品ときたま迷品」

1961年の開館以来「生活の中の美」をテーマに作品を収集してきたサントリー美術館。今回は、国宝や重要文化財が計16件出品されるほか、展覧会にあまり出てこなかった作品も展示されています。撮影してよい作品も多いので、楽しみも倍増でしょう。

会場には、作品解説に加えて「学芸員のささやき」という特別解説もあり、作品にまつわる逸話や意外な一面を知ることができます。隠れた情報を知れば、知識も増え、面白さもひとしおです。監修の柴橋大典学芸員は「自分にとっての「メイヒン」を探してください」と言います。「そうか、その視点で見てみよう」と会場を歩いてみました。

構成は、漆工(生活を美で彩る)、絵画(おおらかな心で愛でる)、陶磁(人類最良の友と暮らせば)、染織と装身具(装わずにはいられない)、茶の湯の美(曇りなき眼で見定める)、ガラス(不透明さをも愛する)の6章。

螺鈿や蒔絵は、日本美術を代表する伝統的な技術です。美しさに圧倒されたのが「花鳥螺鈿蒔絵聖龕」。

展示風景(手前)花鳥螺鈿蒔絵聖龕 桃山時代 16~17世紀 サントリー美術館蔵 展示期間4月17日~5月13日

 

そして、花見などに持って出たであろう重箱「御所車桜蒔絵提重」。色どりよく、どこにどんなお料理をつめようか、皆に喜んでもらうためには何を入れようかしらと考えたに違いありません。

展示風景 御所車桜蒔絵提重 江戸時代 19世紀 サントリー美術館蔵 展示期間4月17日~5月13日

 

この左側の徳利が素敵。「色絵梅枝垂桜文徳利」。描かれているのは枝垂れ桜。ボディラインがたおやかで、このような酒器でお酒を飲んでみたい。右側は「色絵桜文透鉢」。両方とも桜が青い釉薬で描かれているのは、他と競合しないためと「学芸員のささやき」にありました。

展示風景(左)色絵梅枝垂桜文徳利 (右)色絵桜文透鉢 ともに古清水 江戸時代 18世紀 サントリー美術館 通期展示

 

津軽の「こぎん刺し」の美しさには目を奪われます。太めの粗い麻糸で織った布に、木綿糸で刺し子をほどこしています。寒さ対策のための工夫である「こぎん刺し」に美意識が感じられます。そばで見ると、どれだけ丁寧に作られているか、器用に刺したか、時間をかけてつくられたかがわかります。

展示風景 東こぎん 着物 江戸~明治時代 19世紀 サントリー美術館蔵 展示期間4月17日~5月13日

 

あなたも会場で、あなたの「好き」を探してみてください。

「サントリー美術館コレクション展 名品ときたま迷品」2024年4月17日~6月16日 展示会ウェブサイト

*2024年4月25日現在の情報です。*記事・写真の無断転載を禁じます。*写真は許可を得て撮影しています。

 

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

https://cross-over.sakura.ne.jp/

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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