Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

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紳士のためのエンターテイメント

韓国映画「不思議の国の数学者」4月28日公開

胸が熱くなる作品だ。名優が脱北天才数学者を演じ、お金がなくて塾に通えず、勉強についていけない高校生が彼に数学を教わり、生きる意欲を見出していく。

© 2022 SHOWBOX AND JOYRABBIT INC. ALL RIGHTS RESERVED.

本来のストーリーと同時に、脱北者の状況や、韓国の学歴社会の現状を知ることができる。Netflixの世界的ヒットドラマ『愛の不時着』もそうだった。北朝鮮でしばしば停電が起こることや、貧富の差が大きいことなどをドラマを見て知った。その内容は、脱北者に取材したもので極めて真実に近いことだと聞いている。そうした社会情勢を知ることができるのも、作品の見どころの一つになっている。

作品冒頭からバッハの無伴奏チェロ組曲が流れ、天才数学者の感性が感じられる。天才数学者は語る。「答えを出すことより、問いが何かを知ることが大切だ。間違った問いから正しい答えは出ない。さらに正解を出すことが大切なのではなく、答えを導く過程が大切」だと。

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そしてまたこうも言う。「体当たりしてこそ、仲良くなり理解でき、理解してこそ愛せる」「大事なのは考えること。労力を費やし、じっくり考えろ」「証明できないものは信じない」。「数学的勇気が必要。難しい問題に対して、明日また解いてみようと思える余裕を持てること、あきらめないことが大事だ」と。数学には人生に通じるすべてが詰まっている。さらにそこに美学がある。

エリートのお金持ちが通う名門私立高校に、特別枠として片親で低所得者の子供が数名入れることになっている。その子たちの一人が、この高校生だ。

社会の理不尽を感じ、何も信じられなくなっていた時に、希望を見せてくれる大人がいれば救われる。数学者は憤る。「北にいたのでは、自分の世界的な発見が武器に使われることになってしまう。それがいやで脱北したのに、南では数学は大学入試の物差しでしかない」と。

 

自由と学問のために脱北した天才数学者に、韓国を代表する名優チェ・ミンシク。3年ぶりにスクリーンに戻ってきた。北朝鮮の方言を、実際に脱北者から学び、作品中で使う彼は、圧倒的な存在感を放つ。高校生役にキム・ドンフィ。モンスター級の新人と言われる若者だ。

作品内の「π(パイ)ソング」も必聴だ。円周率の数字を規則化して音にし、曲にした。

 

韓国映画「不思議の国の数学者」4月28日(金)シネマート新宿他全国ロードショー

*2023年4月18日現在の情報です*記事・写真の無断転載を禁じます。

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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