Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

できる紳士の色づかい

第五回 自分色 編

梅雨空にも、紫やピンク、ブルーの紫陽花の花の美しさに思わず心が弾みます♩
季節が移り行く今日この頃、みなさんは何色が気になりますか?

01あじさい

実は、最近、アトリエの壁の色を塗るにあたり、色を悩みました。 

私の主宰する『パレットブラン』は、“白いパレット”という意味でもあるように白が好きなのですが、ブランドカラー、コーポレートアイデンティティ(CI)を打ち出すための色彩は、白ではなく薄いターコイズグリーンと決めています。

それならば!やはり壁の色もターコイズグリーン…? 

 02色見本
コラム第2回でインテリアの色のお話をしました。
インテリアには、住宅やオフィス、工場、店舗など、空間の用途に応じたスタイルが求められ、その空間の機能や効率を高める要素としてカラーセラピーがとても大きな役割を果たすことをご紹介しました。

海外ではお引越しをしたら、まず壁や天井などを自分色に塗り替えることは特別ではないようです。
でも日本人にとっては壁を塗り替えるのは一大事。しかも、“カラーセラピー効果も期待出来る色に塗る”となれば、色を決めるのは簡単ではありません。
色で遊びたいという気持ちはあるけれど・・
自分色にしたいけれど・・
結局、安全な色、無難な色に落ち着いてしまったという方も少なくないはずです。

 ここでちょっと余談ですが、時代を遡り、江戸時代のこと、町人文化が華々しく繁栄し、富を得た町人の中には公家や武家の暮らしをまねるものも多く、それを案じた幕府が奢侈(しゃし)禁止令を出し、庶民の贅沢を禁止しました。服の素材や色に制限をつけ「紅、紫、金糸、銀糸、総鹿の子」などの華やかなものを禁じました。やむなく受け入れた町人たちでしたが、そこから新たに鼠色を活用したグレイの文化を作り上げていきます。

「四十八茶百鼠」(しじゅうはっちゃひゃくねずみ)(茶色で48種類、鼠色で100種類)という色のバリエーションを生み出し、目立たない茶や黒、鼠系統の地味で渋い縞や格子、小紋染めを「江戸好み」として流行らせました。                                      
(*下記写真、茶系で有名な「団十郎茶」は市川団十郎が代々用いている色で、現代でも襲名披露などでこの色の裃(かみしも)が使われています。)
幕府の抑圧にあいながらも、「色を遊ぶ」「色を楽しむ」ことを忘れず、「粋」で円熟した美意識を確立したのです。 

03白黒 04団十郎茶

このように日本は、色への意識を高める時代背景があったり、四季の彩りを濃く多く感じることができる風土であったり、日本人独特の色に対する繊細な感覚を育んできたといえます。それゆえに、日本人は色選びを熟慮せずにはいられないのかもしれませんね。

しかし、迷ってばかりもいられませんし、できる紳士のみなさんにはぜひ!自分色を選択して色のアイデンティティを持っていただきたいです。

先にも出てきましたコーポレートアイデンティティ(CI)とは、企業文化を構築し特性や独自性を統一したイメージやデザイン、色を社会に向け発信し共有することで存在価値を高めていく企業戦略のひとつです。

コカコーラの赤、ローソンの青、スターバックスの緑と黒、ティファニーのブルー

わたしたちは 意識せずとも色で選別したり判断していることが数多くあります。            

これは企業だけでなく、建築物、標識、日用品、身の回り品、そして個人においても同じことがいえます。
色はアイデンティティを表現する重要な手段の一つなのです。個々がアイデンティティを持つことは主張や存在価値を高めるだけでなく、社会のつながりや調和、意識向上、ゆえに社会全体を良くしていくことにつながります。できる紳士のみなさんが積極的にアイデンティティの一つとして自分色を持つことは社会にとってとても意味のあることだといえるのです。そして、自分色を持つことがまた『できる紳士』の必須アイテムともなり得るのです。

自分色の持ち方のヒントは、これまでのコラムでお話ししてまいりました。
どうぞご参考にしてみてくださいね。

さて、私のアトリエの壁は何色になったのでしょうか?

パレットブランと私自身のアイデンティティを織り込ませた色を使い自分色のアトリエができました。
パレットブランを訪れてくださるみなさまにも気に入っていただけると良いです。

05お皿 06鳥

そして、最後に、色を上手に使っていくうえでとても大切なこと、カラーユニバーサルデザインについて心にとめておいてください。

カラーユニバーサルデザインとは色の見え方が一般と異なる(先天的な色覚異常、白内障、緑内障など) 人にも情報がきちんと伝わるよう、色使いに配慮したデザインのことです。わたしたちは、常に、すべての人(高齢者も含め)にとって利用しやすく快適に暮らせる社会を追求していかなければなりません。

全五回にわたるコラムにお付き合いいただきまして、ありがとうございました。         
色のパワーや魅力についてお話したいことはまだまだたくさんあります。

世の中を見回わすと、すべて色でできています。その色を活かしたり、バランスを考えているのは、人です。
無意識に選んだ今日のネクタイの色、大切な方へのプレゼントの色、一緒にいる人も幸せにするお部屋の色、人は色を使い心身のバランスを整えています。                           
美しいもの、リラックスできるもの、前向きになれるもの、色をもっと意識することで、さらに豊かな心身を作り上げていくはずです。                                   
「できる紳士」「淑女」のみなさま、色の魔法を使って素敵なシーンを演出してみてくださいね。      

またお会いできる時まで・・

 

MACHIKO GO

http://www.machikoprayer.com/
色彩アートセラピスト、ペインティングアーティスト
パレットブラン代表 http://www.paletteblanc.com/

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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