Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士のためのエンターテイメント

乳白色の裸婦で知られる、「没後50年 藤田嗣治展」が始まりました

日本とフランスを舞台に活躍した藤田嗣治の作品が過去最大規模で観られる展覧会が始まりました。5年がかりで準備された大回顧展は、世界各地の美術館などから約120点が集められ、乳白色の裸婦も10点以上あり、圧巻です。

 

 明治半ば、日本で生まれ、東京美術学校(現・東京藝大)を卒業して渡仏し、シャガールやモディリアーニとともに人気画家となった藤田嗣治。

戦時中は、日本で作戦記録画を力をいれて描いたがゆえに戦後、国策協力したと糾弾され49年に離日します。55年にフランス国籍を取得し、洗礼を受けて、そのままフランスで亡くなりました。自ら建てた北フランス・ランスにある礼拝堂にご夫婦で埋葬されています。その礼拝堂の写真も見られますので、お見逃しなく。

 

この世を去って、50年。まだ、著作権が生きているため、この記事でお見せできる作品が少なくて、申し訳ありませんが、ぜひ足を運んで、ご自分の目でご覧ください。

藤田嗣治が、どれほどエネルギーにあふれた人だったのか、日記を見ても、お皿やワイングラスといった手作りの日用品をみても、5度結婚したことをみても感じられます。と同時に、日本への愛と、自分を受け入れてくれなかった母国に対する寂しさがあるのではないか。そんなことを思いました。

 

30歳前後、キュビスムやモディリアーニに影響を受けた時代、

《二人の少女》プティ・パレ美術館(スイス・ジュネーヴ蔵)© Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833

 

注文を受けて肖像画が描いています。

《エミリークレイン=シャド・ボーンの肖像》シカゴ美術館(アメリカ蔵)© Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833

衣裳やソファーの模様の質感が伝わってきます。背景は銀箔だったため今は黒くなっています。注文主は、パリで暮らしていたシカゴ出身の富裕なアメリカ人女性。

 このそばにあった《人形を抱く少女》にも、私は魅せられました。

 

 

「乳白色の裸婦」の作品が、これほどの数、集まったのは見たことがありません。《五人の裸婦》《舞踏会の前》など、透明感のある肌が妖艶にひかります。

 

 《タピスリーの裸婦》京都国立近代美術館蔵© Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833

後ろにあるフランス更紗とも言われている手染めの布の描写も美しい。

 

そのあとに続く、4番目の妻、マドレーヌを伴っての2年間の中南米の旅の作品の色彩はこれまでの作品とは一線を画します。

 そして、迫力の《アッツ島玉砕》。私には、人々がもがき苦しむ反戦の絵画に見えます。

 

ポンピドゥー・センター蔵の油彩画「カフェ」は、ニューヨークで描かれた、パリのカフェの女性の絵。隣には、その下絵である素描が並んでいます。

 

© Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2017 E2833

最初の妻は鴇田とみ、パリでの暮らしと画家として現地の美術業界へ溶け込むことに大いに貢献してくれたフェルナンド・バレー、リュシー・バドゥー(愛称ユキ)、マドレーヌ、最後の妻は君代と5人の女性たちと暮らした藤田嗣治。その熱い人生を、十分に感じられる展覧会です。

こんな、乳白色の肌になれれば艶やかでいいかも~。

 

 

 

「没後50年 藤田嗣治展」

会期:2018年7月31日(火)~10月8日(月・祝)

場所:東京都美術館 企画展示室

時間:9時半から17時半(金曜日は20時まで、うち8月の金曜は21時まで。入室は閉室の30分前まで)

休室:月曜日、9月18日(火)、9月25日(火)、

8月13日、9月17日、24日、10月1日、8日は開室

 

10月19日~12月16日まで 京都国立近代美術館

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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