Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
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紳士のためのエンターテイメント

映画「ニューヨーク 親切なロシア料理店」で癒される

美しい音楽に彩られ、小さな人たちの小さなやさしさが、人の心を潤わす互いを赦し、自分を赦す。閉塞感が漂ういま、この映画に救われる。人は気づかないうちに、自分を責めていることがあるが、自分を赦すことによって救われることもたくさんある。もっと自分を救ってあげたい。

映画「ニューヨーク 親切なロシア料理店」は、癒しのある作品だ。

© 2019 CREATIVE ALLIANCE LIVS/RTR 2016 ONTARIO INC. All rights reserved

夫の暴力で家を出たクララと小さな息子2人アンソニーとジュード。息子が夫に殴られているのを見た彼女は家を飛び出し子供たちが一度見たいと言っていたNYにやってきた。お金もなく、泊るところもなく追い詰められていく。一方コンサートホールの横にある、創業100年の古びたロシア料理店「ウィンター・パレス」には、マークという男が店を立て直すために雇われる。そこに通う常連客、独身で看護師として忙しく働く傍ら「赦しの会」というセラピーの会を開くアリス。不器用で何をやっても失敗だらけのジェフもアリスによって助けられる。そうした人たちの押しつけがましくないやさしさに受け止められ、人々は新たな人生を歩みはじめていく。

NYのシェルターや、炊き出しには人があふれている。公共図書館も暖をとる場所だ。仕事がない、居場所がない、ご飯が食べられない人たちをNYは排除しない。窓を開ければ生演奏の音が聞こえてくる路地裏は、ひと時の安らぎを与えてくれる。

本当の幸せを探し求める人たちを応援し続ける監督・脚本・製作総指揮のロネ・シェルフィグ。『幸せになるためのイタリア語講座』でベルリン国際映画祭銀熊賞をはじめ数々の賞を受賞している。『17歳の肖像』では、英国アカデミー賞9部門受賞し、アカデミー賞で3部門にノミネートされた。

2人の息子が優しい。

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父親によって、弟を殴らされていたアンソニーは母親に言う。「殴っている僕にジュードは言うんだ。僕はお兄ちゃんを赦すよって。弟にぼくは赦してもらったんだ。だからママも自分を赦して」と。息子たちを守るために、そして息子たちの愛に支えられて怯えながらも立ち上がるところが何とも心震える場面だ。

ウィンター・パレスのオーナー役のイギリス映画界の至宝ビル・ナイが登場し、作品に重厚感を与えている。

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ロシア料理をたくさん見たいと思って見始めたのだけれど、ボルシチとかピロシキは出てきませんのであしからず(笑)。

 

ニューヨーク  親切なロシア料理店」2020年12月11日(金)よりシネスイッチ銀座、新宿シネマカリテ、YEBISE GARDEN CINEMAほか全国順次公開

 

*2020年12月5日現在の情報です。*記事、写真の無断転載を禁じます。

 

岩崎由美

東京生まれ。上智大学卒業後、鹿島建設を経て、伯父である参議院議員岩崎純三事務所の研究員となりジャーナリスト活動を開始。その後、アナウンサーとしてTV、ラジオで活躍すると同時に、ライターとして雑誌や新聞などに記事を執筆。NHK国際放送、テレビ朝日報道番組、TV東京「株式ニュース」キャスターを6年間務めたほか、「日経ビジネス」「財界」などに企業トップのインタビュー記事、KADOKAWA Walkerplus地域編集長としてエンタテインメント記事を執筆。著書に『林文子 すべてはありがとうから始まる』(日経ビジネス人文庫)がある。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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