紳士が知るべき七宝工芸
第三回 七宝焼の色の秘密 赤と白をまぜたらピンクになる?
写真とっていただきました。
田村七宝工芸 田村有紀です。
photografer YUUKI OHSHIMA
さて、今日は伝統工芸品「七宝焼」の魅力の一つ。
色についてです。
こちら、我が家で人気の富士山の額。
(額/gaku 平面作品のこと)
ちょっと拡大しますね。
この白から赤にかけてのグラデーション。
赤と白があればパレットみたいなところで混ぜて作れる
と思うじゃないですか? 水彩絵の具みたいに。
それがね、出来ないんです。
七宝の釉薬(ゆうやく・絵の具のこと)は、
クリスタルガラスを砕いたもの。砂状のクリスタルガラスです。
赤と白を混ぜてピンクのようなものを作り乗せて焼くと、
赤と白のぶつぶつのものが焼き上がるだけなんです。
塩コショウをイメージしていただけるとわかりやすいかも。
塩とコショウが溶けて混ざり合うことはないですよね。
じゃあどうするか?
→赤と白を混ぜた一見ピンクに見える釉薬を
一旦別の場所でドロドロに溶かし、
冷まし、砕き、、、、ようやく中間色の完成です。
グラデーションを作るには、赤、ピンク、白だけでは足りないので、
さらに赤とピンクを混ぜてドロドロに溶かし固めて冷まし砕き・・・
これを繰り返して赤〜白までのグラデーション7段階程度つくります。
そう、材料作りからおこなわないといけないんです。
ですので、こちらの孔雀文様七宝額も・・・
紫のグラデーションは白〜紫のグラデーション用に7色使っています。
そんな手間がかかるにもかかわらず七宝が発展してきたのは、
世界中の人々を魅了してきたからではないでしょうか?
わたしは生まれてからずっと七宝を見て育っていますが、
この色彩豊かな工芸、飽きることはありません。