Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

できる紳士のスーツの知識

第4回 お手入れ 

① 日常編

 手入れ編-1

服というものは、手入れ次第で良くも悪くもなるもの。長持ちさせたければ、日常のお手入れが不可欠で、これを習慣づけることが大事になってきます。
できない人は、それだけでオシャレ失格と言われても仕方ありません。毎日できなくても休日にまとめてやるなど、そのやり方はいくらでも見つかるはずです。
今回は、そんな衣服のデイリーケアについて語ることにしましょう。これでいくらかはクリーニングの回数も減ることでしょう。

《ブラッシングの仕方》

服は一度外に着て出たら、大量のホコリが付くものです。したがって、帰宅したらまず玄関先でよく振って、ホコリや花粉などを落としてください。そして、そのままブラッシングに取りかかります(部屋に入らず玄関で行うのがいちばん!)。

洋服ブラシは服の素材によって使い分け、普通のスーツやコートには少し硬めで弾力性に富むブタ毛やイノシシ毛のものがいいでしょう。カシミアやフランネルなどソフトな生地のものには、柔らかな馬毛のブラシが向いています。

ブラシのかけ方は、生地の目に沿わせて上から下へしなやかに行うのが原則ですが、ホコリのたまりやすい生地やコーデュロイなどの添毛素材の場合には、生地の中のホコリや汚れをかき出すイメージで、下から上へかけることもOKです。その後、毛の流れに沿って上から下へかけ、毛並みを整えてください。

また、スエードなどの起毛素材では、はじめに毛足の流れとは逆にブラシをかけ、その後で流れのとおりにブラッシングして毛並みを揃える方法もあります。
汚れがたまりやすい縫い目はたたくようにブラシをかけ、フケがたまりやすい襟裏はよりていねいに作業してください。

さらに凝るなら、床屋さんで使っているような小さなホウキ状のブラシ(ブルーム)を使って、ポケットの内側などまでていねいにブラッシングすることです。糸くず取り用のエチケットブラシもあるとよろしい。
汚れに気づいたら、とにかく拭くだけでもよいもので、何もしないでそのままクローゼットへ入れるというのが一番いけません。

《ハンガーの選び方》

生地の特性に合わせたブラシの選択が求められるように、ハンガーにもプロの目が求められます。ひと口にハンガーといってもさまざまな種類がありますが、ここで問題にしたいのは、やはりコートやスーツの上着用のそれ。
そのポイントは、肩の形に合った、しっかりしたハンガーであることです。
最も優れているのは、肩に厚みのある大型の木製ハンガーで、これは木そのものに吸湿性があり、服の湿気を吸い取ってくれます。とともに、がっしりとした肩で型崩れを防いでくれることになるのです。
まずは、手持ちの服に合ったきれいな肩線のカーブを描く、そうしたハンガーを手に入れるようにしたいものです。
できればズボンにも専用のハンガーを選んで、ちゃんと吊るすようにしてください。クリーニング店から付いてきた針金やプラスティックのハンガーをそのまま使っているようでは、とてもオシャレとは言えますまい。

《クリーニングに出す時》

「服を管理できる人は、これから着ようとする時にクリーニングに出す」というクリーニング屋さん自身の証言があります。つまり、しまう時に必ずクリーニングに出さなければいけないということはないのです。

もちろん、ホコリが付いたり汚れたままで長期収納してしまっては不味いので、ウールのスーツやコートはよくブラッシングし、汚れがあれば然るべき処置をほどこし、カバーを掛けるなどして保管するのですが、クリーニングに出すのはそれを着る直前のほうがよいというわけです。

ひんぱんにクリーニングに出していると型崩れしたり、生地がへたってくることが多いもので、実際、上等のスーツやコート類は絶対にクリーニングに出さないという人もいるくらいです。
そうした人たちは、日頃の洋服の手入れも完璧で、ケアのテクニックにも長けています。本当に良い服というのは、少々クリーニングに出さなくても大丈夫なものなのです。

とは言うものの、やはりクリーニングが気になるものでしょう。そんな人は、まず評判のよいクリーニング店に普通のシャツを出して、仕上がり具合をチェックしてみてください。
そして、クリーニングに出す時には、ポケットの中身を全部取り出し、ほつれや破れ、キズ、ボタンのゆるみなどは修理してから出すことです。このような直しは、頼めばやってくれるクリーニング店もあります。
汚れやシミがある場合は、なるべく早く(3日以内)出すようにしてください。何のシミか、わかっていると対処もしやすくなるものです。

《たたみ方…収納法》

衣服収納第一のポイントは、見やすさ、取り出しやすさの2点にあります。
いくら気に入っている服でも、タンスの奥にしまい込んだり、収納ケースの中に無造作にたたみこんでいると、見つけにくく、また取り出しにくくなってしまいます。
ひと目見て、どこに何があるかすぐわかり、すぐに取り出せる。これが賢い収納術の第一歩で、そのためにもわかりやすく区分けしておくことが、何よりも大事なのです。

衣服の収納には「吊るす」「たたむ」「丸める」の3つの方法があります。
服は何でもたためばよいというものではなく、無理にたたんでしまうと大きなシワができて、後で困るということにもなりかねません。
衣服の収納にはアイテムによって、それぞれ適した方法があり、これらをうまく使い分けるのが収納テクニックのひとつとなるのです。

● 吊るす…シワをつけたくないものは吊るすに限ります。コートやスーツ、ジャケット、ブルゾン、パンツといったものがそれで、上衣類は肩の合った適正なハンガーを用い、ボトムスはできれば専用のハンガーを用いて、ゆったりとハンガーラックに収納したいものです。

● たたむ…たとえ、たたみジワがついても、すぐに元に戻すことができるようなものは、たたんで収納してよろしい。セーターやカーディガンなどがそれで、吊るすのに苦労するロングコートなども、ゆるくたたむことでOK。

● 丸める…シワを気にしないで、しょっちゅう着替えるTシャツやスエットシャツ、下着といったものは、丸めて収納したほうが場所を取らず、また簡単に取り出すことができます。

【重衣料(コート、スーツ、ジャケットなど)のたたみ方】

変なシワを作りたくなければハンガーに吊るすのがいちばん。しかし、保管場所が狭いとそうも言ってられません。そこで「吊るす」収納から「たたむ」収納という方法も考えてみましょう。

まず、左右の袖を内側にたたんで、袖先を突き合わせるようにします。そうして裾から折りたたんで二つ折りの状態にすればよいのですが、シワよけのためにはこれだけでは不十分。この状態で長期保管すると、必ず折りジワがついたり、型崩れを起こしたりしてしまいます。これを避けるには、まず二つ折りにしたところにタオルを丸めて挟んでおくことです。新聞紙を筒状にして挟んでもよいし、台所用品のラップの芯などを使ってもいいでしょう。
さらに気になる肩の内側には古いストッキングなどを丸めて詰め込んだり、新聞紙を丸めて代用させてもよろしい。同じように襟の内側や袖の中にも詰め物をしておけば、型崩れや折りジワの心配も少なくなります。

テーラードな上着の場合、たたんで保管すると襟の部分がペタッとなってイヤな思いをすることが多いものですが、これは襟全体を立ててクロスさせておけば大丈夫。ハンガーで吊るす時にも、襟を立てておくことで型崩れを防ぐことができるものです。

【クローゼットへのしまい方】

汚れがついたままクローゼットへしまうと、シミやカビが付くのは当たり前。特に汚れがつきやすい襟や袖口、ポケット口はベンジンなどの薬品でたたき取るようにして汚れを取ってからしまうよう心がけましょう。
少々の汚れだったらブラッシングだけでも落ちるし、ガムテープやセロファンテープで落とす手もあります。とにかく、何もしないでそのままクローゼットヘというのがいちばんいけません。

さらに、ハンガーラックにマックス状態で詰め込む、というのも避けるべき注意点となります。

《季節ごとの入れ替え時の注意点》

季節の変わり目には、大抵クリーニングに出して、戻ってきたものを保管するという方法をとるものですが、この時、服にかかっているビニール袋をどうしていますか?

クリーニング店ではプレスの際、強力なスチームアイロンをかけて仕上げることが多いもので、その結果ビニール袋の内側には蒸気が残っている場合が多いのです。
したがって、そのままクローゼットなどに収納してしまうと、そうした水分がシミやカビの原因になることがあります。下手をすると変色することもあるし、そのままにしておいてビニール袋が服にくっついてしまうこともあり得るのです。

ビニール袋は面倒でもいったん必ずはずし、小1時間ほど日陰に吊るしてから収納するようにしてください。湿気や薬品臭を完全に取るには1、2日かかると言いますから、そのあいだ風に当てることを実行してもいいでしょう。

また、次の季節がくるまでの長期間の保管には防虫剤を使用することもありますが、これは使用方法をきちんと守ることが、ことのほか大事とされます。これをいい加減にしていてはせっかくの防虫剤もただの飾りでしかなくなってしまうのです。
その防虫剤はどんな素材の服に合うのか? 使用量は? 使用期間は? 置き方は? といった点をよく吟味して、正しく使用するようにしてください。

これらとは別に、季節ごとにわざわざ服の入れ替えなどしないという考え方もあります。
現代の洋服に「衣替え」はないという考え方からきているもので、この場合はいちいちしまいこまないで、全部見えるところに出しておこうということになります。

また、長い期間着ることのない衣類は、思い切ってクリーニング店などに預けてしまうという保管方法もありますので、こうしたことも考慮に入れておいてください。

② 特別編(出張時)

出張編

特別編として出張時のスーツケース(キャリーバッグ)にしまう時のたたみ方についても考えてみました。つまりは「スーツケース収納術」というわけです。

出張に際しては、まず何が必要なのか? 
これを厳選することが最も大切なポイントとなります。TPOに合わせて、最低限必要な持ち物を用意するということで、使うかどうか分からないものは、絶対持っていかないと決意するのも大事なのです。
何日間の出張なのか? 短ければ着替えのシャツや下着だけでも十分です。
国内なのか海外なのか? これも期間の問題がありますし、行き先によっては季節感の問題も絡んできます。

出張先では行楽や観光、また高級レストランや夜の接待などフォーマルな機会もあるのか? これによってはカジュアルな服装やクツ、またフォーマルな服装が必要になるかもしれません。こうした出張の目的によって自ずと持っていくものが決まり、それらを入れるバッグ類も決まってくるのです。

とにかく必要なものだけに絞って、あれもこれも持っていかないこと、そして必要以上に大きいスーツケース(キャリーバッグ)は持っていかないことです。
このようなことをわきまえた上で、実際的なパッキングの仕方を考えてみましょう。基本的には次の4つのポイントが考えられます。

1 重いものを下(底側)に詰める…安定感が生まれる
2 分かりやすくまとめる…小分けにしてまとめておく
3 すき間を埋める…クッションを作る
4 ハードキャリーの片側に入りきる量の荷物だったら、本体側に全部入れて、フタ側は空けておく

まず大きくて重いものから詰めていって、その間に小さいものや柔らかなものを詰めすき間を埋めていきます。瓶類など割れやすいものはビニールなどで密封して、タオルなどで包み、収納します。ノートパソコンやドライヤー、カメラなどこわれやすいものも同様で、これらはバッグの中心部に置くと圧力がかかりやすいので、中央からずらして置くことも肝心です。

荷物の詰め方についてはさまざまな方法がありますが、一般に言われている「4分割の法則」にしたがうのが一番のように思われます。
これはケースのフタ側と本体側(底側)で詰めるものを分け、中仕切りも活用して全体を4つの部分に分割して収納するやり方です。
フタ側の上の部分にTシャツやドレスシャツなどの軽い衣類や雑貨を詰め(ネクタイもその上に置く)、その下側の部分に着替えのジーンズなどやや重量感のある衣類をパッキングします。
本体側の上部にはセーターや下着、靴下など、そしてその下部にクツや本、傘、洗面道具などの重いものを収納するのです。この場合、タオルなどをクッション代わりに詰めると全体が落ち着きます。

こうした収納の他に、スーツやジャケット(ウォッシャブル・タイプも便利)など厚手の衣類を入れる必要が生じた場合には、広げた状態のまま重ねて入れ、重ね終わったら上から順にはみ出た部分を折り込んでいき、すべて折り込んだ上からバンドを掛け、出来上がりという「スーツの旅行用たたみテク」の方法もあります。

また薄手の衣類は両袖を内側に折り込み、センターで二つ折りにして下から上に向かってクルクル丸めた状態でコンパクトに収納することもできます。

ドレスシャツは荷物の最上部に置き、襟が重ならないようずらして詰めておくと安心です。
スーツやジャケット、パンツなど重衣料のシワがどうしても気になるなら、別のガーメントケースやスーツバッグを用意するしかありません。また、すぐに使うものは別のショルダーバッグやブリーフケースなどに入れておきましょう。      

その他、航空機を利用する場合には荷物の制限がありますので、これにも十分注意しておいてください。

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ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

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