Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

紳士が知るべきブランドストーリー

Vol.3 ベントレー・ボーイズが培った伝統を現代に蘇らせる 「コンチネンタルGT」

■“ヴィンテージ“の時代に思いを馳せる

 ヨーロッパにおいて文化が花開いた1920年代は、自動車の世界でも、珠玉のモデルが世に送り出された時代だ。愛好家の間では”ヴィンテージ・カー”、つまり特定の年代に作られた良いクルマと呼ばれているほどだ。
第一次世界大戦に前後してエンジン設計の分野で頭角をあわらしたW.O.ベントレーが、1919年にロンドンの片隅で自動車メーカーを起こしたのは、そんな時代のことだった。

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W.O.ベントレー

まだ町中を馬車が闊歩する中、当時、自動車という乗り物は非常に先進的に映ったに違いない。
しかも、それがベントレーのように圧倒的な高性能車でレースシーンを席巻したスポーツカーであれば、なおさらだ。

The showroom in Central London - mid 20's

1920年 当時のベントレーショールーム

  ベントレーを購入できる財力を持ち、自費でワークスチームを結成して、命がけでレースに挑む。
地元英国のブルックランズやTT、海を渡ったフランスのル・マンといった有名サーキットを疾走する彼らを”ベントレー・ボーイズ”と呼び、賞賛を送ったのも頷ける。
いずれも稀有な個性の持ち主でもあり、教養とチャレンジ精神を兼ね備えていた。

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当時のレースのポスター

  サーキットにおける圧倒的なパフォーマンスの高さと、それを引き出すベントレー・ボーイズの走りは、ベントレーという自動車メーカーをキラ星のごとく輝かせることになる。
1923年に初開催されたル・マン24時間耐久レースに挑み、翌年には初勝利を収める。
その後に4連勝を加えて、短い期間で5回の優勝を勝ち取ったのだ。

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ベントレーボーイズ John DuffとFrank Clement

 ■伝統と近代の融合した走り

 ベントレー・ボーイズたちが築いたチャレンジ精神やスポーツマンシップは、現代のベントレーにも受け継がれている。
2001年には71年ぶりにル・マン24時間耐久レースに復活し、数年後に見事に勝利を手中にした。
もちろん、サーキットの上だけではなく、「コンチネンタルGT」のステアリング・ホイールを握った瞬間にも伝わってくる。
流麗な2ドア・クーペ・スタイルは、ただ美しいだけではなく、地をはうような踏ん張り感も兼ね備えており、このクルマに秘められたポテンシャルの高さを象徴している。
メッシュのグリルが押し出し感を強調し、ボンネットからサイドパネルを経由してリアエンドへと連なる豊かな面がサイドビューに表情を与えている。

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コンチネンタルGT

 運転席に滑り込むと、滑らかな手触りの革が身体を包み込むようにサポートしてくれる。
低く、スポーツカーらしい姿勢ではあるが、視界が良好で運転しやすいのはベントレー一族に共通する美点だ。Dレンジを選んで、アクセルを踏み込むと、フロントに積まれる4LV8ツインターボ・ユニットが最高出力507ps/6000rpm、最大トルク660Nm/1700rpmを発揮し、4輪に強大なトルクを伝える。

 こっくりとした味わい深いステアリング・フィールは、手の内でクルマを操れるようなシュアさを感じる。4820☓1945☓1410mmの堂々たるボディ・サイズを持つが、運転席からの見晴らしの良さと応答性の高い操舵性のおかげで、想像以上にあつかいやすい。
可変ダンパーを備える足回りはスタンダードな設定では乗り心地がよく、かつ路面をしっかりと捉えてくれる。
もちろん、よりスポーティなセッティングを選べば、ドライバーズ・カーとしての本領を発揮して、停止から100km/hまでを4.8秒で加速し、最高速は303km/hに達するという俊足ぶりを披露する。

page5image376車内の様子

 トランスミッションがクロスレシオの8速ATとなったことにより、6%もの低燃費化に成功しつつ、走りの魅力も高めている。
Sモードを選んでマニュアルで積極的に操るのも楽しいが、一方で町中では変速をトランスミッションに任せて、ラグジュアリー・クーペらしいゆったりとした走りを楽しむのもいい。
欲しい時に、欲しいだけの加速を得られるレスポンスの高さを備えつつ、いったん望みの速度域に達してしまえば、半分のシリンダーを休ませて低燃費運転に徹する。
その切り替えに要する時間は100分の数秒とわずかであり、電磁コイルによって逆位相の振動を発生させるアクティブ・エンジン・マウントのおかげもあって、切り替わり時の振動などは一切感じない。

■さらなる高みを望む人に

 日常的な速度域では、高級車ブランドにふさわしい内外装の質感と快適性を備えながらも、いざとなれば、最高のドライバーズ・カーとしての走行性能をいつでも発揮できる。
しかも、2トン超の重量級のボディを大トルクのパワートレインで押し出すような高級感のある走行フィールを損なわずに、CO2排出量246g/kmというなかなかの燃費性能も獲得している。

 これ以上望む人がいるのか?とも思うが、出力を528ps/680Nmまでスープアップし、0−100km/h加速を4.5秒まで短縮した「コンチネンタル GT V8 S」が用意されるのだから、やはり欲張りな人というのはいるものなのだろう。

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コンチネンタル GT V8 S

page6image2360車内の様子

 高級車の名にふさわしい快適性を備えながらも、なによりも最高のドライバーズ・カーであることを旨とする。
そうした旧来の”ベントレーらしさ”に加えて、現代的な軽快さと俊敏さを得た「コンチネンタルGT」シリーズは、日常のビジネス・シーンに艶やかさをもたらしてくれそうだ。

ベントレー

イギリスの高級車・スポーツカーメーカー、ブランド。1919年8月、W.O.がベントレー・モーターズをロンドンのクリックルウッドに設立。その後、1924年-1930年にはベントレーボーイズと呼ばれる大富豪の子孫がドライバーとしてして参戦したル・マン24時間レースで、5回の優勝を飾るなどモータースポーツで名を上げ、高性能スポーツカーメーカーとして世界の富裕層に好んで使用された。最新技術とクラフツマンシップの融合により完成されたドライバーズカーは、グランドツーリングの最高峰として高く評価され愛されている。
 

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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