紳士が知るべきチェスのダンディズム
チェスのニューノーマル
皆様、こんにちは。
チェスフォージャパンの横谷です。
シュタイニッツ、ラスカー、カパブランカ、スパスキー、フィッシャー、カスパロフ、ポルガー、カールセン
この人たちの名前を聞いたことがありますでしょうか。
海外では世界チャンピオンは注目の的です。世界のチェス人口(成人)は6億人を超え150か国以上で親しまれています。
下記は6ヵ国のチェスをプレーする人口割合です。今回はCOVID-19によりチェス界で加速した2つの現象について。
[オンラインチェス]
インターネットの普及によりチェスはオンラインでも常時楽しめ、チェス人口は増加しても減ることはないと言われています。中国においては正確な人数が把握されていないものの10万人前後のプレーヤーが存在し世界大会でも常時トップを占めてきています。
有名なサイトChess.comは昨年のコロナ禍で3週間で70万人の会員数を増やしたこともあり現在も加入者は増え続けています。
チェスは14世紀の黒死病(ペスト)が大流行した時代もステイホーム中のゲームでした。オンラインに形を変え21世紀まで続くチェスの姿は世界中の人々の生活に根付いていることをあらわしています。もっとも日本のアクティブなチェス人口は極端に少なく5000人以下で世界と比べようにも比べられない現実があります。
[チェスとジェンダー]
さて2020年から今年にかけてほど世界のチェスのニュースでジェンダーギャップが話題に上ったことはかつてないのではないでしょうか。
先にあげたチャンピオンのフィッシャー(ボビー・フィッシャー)氏は生前、「女性はチェスをするべきではない、関わる必要もなくまっすぐ家に帰るべきだ」と述べています。
カスパロフ氏も1989年に雑誌に「本物のチェスと女性のチェスがある」と述べていましたが近年にその真意を聞かれ、発言は間違っていたと撤回しています。
男性チェスプレーヤーのステレオタイプは依然としてありチェスの世界では当たり前でした。
2018年からFIDE(国際チェス連盟)副総裁で英国のナイジェル=ショート氏は男性が知的に優位であることは事実だと述べ物議を醸しています。
2015年に引退したハンガリー出身のユディット=ポルガー氏は、才能は創られるもので生まれつきではないという心理学者の父のもとでチェスの英才教育を受け世界のトップ10に入り、FIDE(国際チェス連盟)が現在でも男性と女性が分かれて大会を施行していることに対しても声をあげています。
インドではチェス人口が多いことから昨年ジェンダーギャップ調査が行われました。その結果、チェスにおける性別による生物学的差異のはっきりとした根拠はゼロであることから “生物学的な違い” があるのではないかと飛びつくのではなく下記の3つの注意点があることを発表しています。
- 女性の機会(参加)が限られていないか
- 組織全体に不公平とバイアスがないか
- 経験値の高い男性チェスプレーヤーのステレオタイプ
このインドのチェス界の結果は他分野にも当てはまります。
オンラインで生計を立てられるほどに急成長しているインターネットのチェス市場では、対戦する相手の性別に関係なく世界中のプレイヤーと自由に対戦でき、古くから有った男女間の障壁そのものがなくなるといった変化が加速しています。COVID-19が去った後のチェス界を占うに当たって、女性の活動がもっと活発化するような、今風でいう「ニューノーマル」な変革が起きています。
✳︎一部CHESS4JAPAN HP、世界最新チェスニュースから抜粋

横谷 慈
一般社団法人チェスコンシェルジュ協会代表理事
株式会社 Chess for Japan 代表取締役
イギリス帰国子女 チェスを通じて友人を作る
聖心女子大学卒業
大学卒業後通訳を経て医学部精神医学教室で2年の研修後、都内の病院にて心理士として勤務。帰国子女のカウンセリングを主に行う。配偶者の海外転勤に伴いイギリス、オーストリア、ハンガリーに住む。在外公館にて要人との接客に携わりチェスのある文化に親しむ。ティーインストラクターとして10年間大使館や企業でティーセミナーを開催。2018年(株)チェスフォージャパンを設立。同年5月に自由が丘・12月に広尾クィーンズチェススクールを開校。2020年9月那須クィーンズチェススクール開校。女性限定のプライベートチェスレッスン、チェスコンシェルジュ®養成、小学生対象のチェス・ラボを行う。2020年10月男性プライベートレッスン2020年11月キッズチェスコンシェルジュ™オンライン講座、Chess Therapy ™ 講座
3児の母
Instagram https://www.instagram.com/chess_and_tea/