チェスをたしなむダンディズム

皆様、はじめまして。

株式会社チェスフォージャパン代表の横谷です。

これから12回にわたりチェスについての連載をいたします。

本校は自由が丘を拠点に広尾、那須に女性限定クィーンズチェススクールを展開しています。

男子専科の会員の皆様におかれましてはプライベートレッスンを対面、オンライン講座にて承ります。どうぞよろしくお願いします。

 

自己紹介

イギリス帰国子女　チェスを通じて友人を作る

聖心女子大学卒業

通訳を経て都内大学付属病院で研修後心理職勤務　帰国子女のカウンセリングを主に行う。配偶者の転勤に伴い、イギリス、オーストリア、ハンガリーの在外公館にて要人の接客に携わりチェスの文化や歴史に触れる。シニアティーインストラクターとして大使館、企業で10年間セミナーを行い、インストラクター養成、紅茶教室、展示会の立ち上げに携わる。

美しく文化的な背景を持つチェスが日本では身近にないのを疑問に思っていたため2018年起業。女性限定のチェスレッスン、小学生対象のチェス・ラボ、チェスコンシェルジュの養成を行う。３児の母

 

 

チェスをたしなむダンディズム

皆様のチェスのイメージとはどんなものでしょうか？

チェスをはじめる方の多くはその“美しさ”をあげます。

世界でチェスを楽しむ人口は７億人とも言われルールは世界共通です。

言語や文化の障壁の無いコミュニケーションツールとしてチェスは「考える楽しさ」を教えてくれます。

日本でもこの３、４年でチェスが登場するドラマをみかけることが多くなりました。2018年「もみ消して冬」では主人公の姉と執事のチェスシーンが度々出てきています。

印象的でしたのは2018年の大河ドラマ西郷どん第34回「徳川慶喜」です。

将軍家茂が２１歳の若さで亡くなり慶喜（松田翔太）は周囲の予想を覆し将軍の座につきます。慶喜はフランス公使ロッシュと軍事支援を取りつける場面で美しいチェスシーンが出てきました。ご覧になった方もいらっしゃるのではないでしょうか？

チェスは場面の展開や秩序が変わるときに使われる分かりやすい小道具でもあるのです。ですからチェスが出てきますと“変化”と“戦略”を表すものと私は理解しています。

これは海外の小説や映画でも同じで変化の暗喩に使われたり、チェスピース（駒）の動きがそのままトリックに使われたり、棋譜が暗号になったりします。チェスを知ると楽しみ方もまた変わってまいります。

長い歴史や背景もさることながらその人がなぜチェスをこよなく愛すのか、なぜ始めたのかを理解すると深い繋がりが生まれます。受講生の方を見ていると人生はそのままチェスのようだと感じることがあります。その方の人生とチェスのゲームの進め方は似ているのです。人生は良い時もあれば悪い時もあります。困難な時こそどのように乗り切ってきたのかが見えてきます。そういう意味ではチェスはただ勝負を楽しむというものではありません。

チェスの街

イタリアのヴェネト州マロースティカは「チェスの街」とも言われ2年に１度屋外で人間チェスが行われます。歴史的な装束をまとい、8×８の市松模様が描かれたチェス広場でのイベントは２０世紀に喜劇作家が描いた貴族の物語をベースにしたものです。

人間将棋を行う山形県の天童市とは姉妹都市です。

現在は海外旅行に行くことはままならない状況ですが、イタリアが好きな私は内田洋子氏のエッセイ「イタリアの引き出し」を読みながらいつか行きたいと思いを馳せています。