Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

五感を研ぎ澄ます紳士

第5回「モーリス・ベジャール氏/振付家 『ボレロ』の魅力と感性」

 

振付家モーリス・ベジャール氏 1989年撮影 Keystone

 

2011年、東日本大震災のチャリティー公演で、モーリス・ベジャール氏振付のバレエ「ボレロ」が上演されました。

私はこの公演に少しだけ関わらせていただき、大好きな作品に直接触れられる喜びと、舞台の緊張感を肌で感じる貴重な経験をしました。

 

2011年、東日本大震災のチャリティー公演(東京公演)

 

「ボレロ」という作品は、踊りもさることながら、その曲の旋律が心に響き、誰しもが引き寄せられる魅力的な作品であります。

ベジャール氏は20世紀を代表する振付家で、モーリス・ラヴェル氏作曲の「ボレロ」に振り付けた作品は世界的に知られています。

そして、この作品を踊ったシルヴィ・ギエム氏は「100年に一人の逸材」と称されるバレエダンサーです。

彼女の卓越した技術と表現力は、ベジャール氏の作品によってさらに世界を魅了しました。

二人は振付家とダンサーとして互いに深く影響し合い、その信頼と共鳴が舞台の美しさをより際立たせています。

 

 

2011/10/19(水)<HOPE JAPAN>チャリティガラより「ボレロ」

 

「ボレロ」はギエム氏にとっても代表作です。

2005年以降、特別な公演を除いて彼女はこの作品を封印していましたが、ベジャール氏の追悼公演で封印を解きました。

その後、日本に深い思いを寄せていた彼女は2011年、東日本大震災を受け来日。

チャリティー公演「Hope Japan」ツアーで被災地を含む全国を巡演し、「ボレロ」を踊りました。

ギエム氏にとってこの作品は、日本との絆を再確認するとともに、ベジャール氏の魂を日本に届ける特別なものだったのです。

私もその舞台を拝見し、作品を通して人と人とのつながりや芸術の力を身近に感じ、胸が熱くなる想いでした。

 

「ボレロ」の舞台は、セビリアの酒場から始まります。

踊り子がゆったりとリズムを取り始めても、最初は客たちは関心を示しません。

しかし踊りが華やかになるにつれ高揚感が広がり、やがて全員が踊り出すというストーリーです。

ベジャール氏の振付では主役以外はすべて男性で、円卓状に女性ダンサーが踊り出すと、男性たちが取り囲み支えながらも追いかけるように踊ります。

女性の繊細さや美しさを男性の力強さで際立たせる演出は、舞台を間近で観ると圧倒されるほどの迫力で、女性としてその美しさや強さに心を奪われました。

男性の動きが女性をより華やかで儚く見せる瞬間は、言葉にならない感動で、舞台の熱気が身体中に伝わってきました。

 

2011/10/19(水)<HOPE JAPAN>チャリティ・ガラより「ボレロ」

 

この作品からは、ベジャール氏の振付家としての五感が存分に感じられます。

視覚(ダンサーの動きや照明)、聴覚(音楽のバランス)、嗅覚(酒場の雰囲気)、味覚(踊りの中で想像される酒場の味)、触覚(触れずとも伝わる躍動感)など、あらゆる感覚が作品に生かされ、観客は自然と引き込まれます。

私も舞台の空気に包まれながら、芸術が心を揺さぶり、希望や勇気を与える力があることを肌で感じました。

ベジャール氏はダンサーを「宝石」と見なし、さまざまな色に光る宝石を五感を通して作品に変えていきました。

振付を通じて、創造性や革新性、生命の循環や人間の普遍的な感情を表現し、個々の感性を超えた人とのつながりの大切さも伝えています。

舞台に関わることで、私は芸術の力と同時に、更に人とのつながりの尊さを強く感じることができました。

 

 

楽屋でギエム氏とギエム氏のご主人と。

 

終演後、楽屋でギエム氏にお会いした際、穏やかで笑顔が素敵な方だと感じました。

あの凛とした踊りを生み出す方とは思えないほど温かく、人としても深く魅力的でした。

舞台の感動に加え、こうした人との出会いも含め、私にとってかけがえのない経験となりました。

 

*注釈:モーリス・ベジャール氏が『ボレロ』に女性を適用したのは、彼の振付に対する革新的なアプローチと、作品に新たな解釈と視覚的な魅力を加えるためでした。特に女性ダンサーに踊らせることで、男性ダンサーとは異なる繊細さや力強さを表現し、作品に深みと奥行きを与えたと言えますが、ベジャール氏自身のバレエ団の許可を得た選ばれたダンサー(男性)も踊っています。

鈴木 三月 Yayoi Suzuki

東京都出身。 
パリソルボンヌ大学、Institute Catholique大学短期留学後、
パリプレタポルテ・オートクチュール協会日本事務所入社。
その後(株)エルカ入社KENZOのレディースPR担当として働く。
1991年 日本におけるアタッシェ・ドゥ・プレスの先駆けとして(株)パザパを設立。
ヨーロッパのファッションブランド
のPRを主に手掛けるとともに、髙田賢三氏本人からの依頼によりKENZO PARISの日本におけるブランドPR及び髙田賢三氏本人のパーソナルマネージメントをスタート。
又、その後㈱パザパの業務は、ファッションに留まらず、美容・レストラン等衣食住を中心とした業務へと活動の幅を広げる。 
2000年 髙田賢三氏の共同経営者として(株)KENZO TAKADAを日本に設立。 
2011年(株)パザパを、(株)セ・シュエットに社名変更(パザパはPR事業部として存続)。
2013年 調理師免許取得後、フードアドバイザーの仕事をスタート。
各種イベントにおけるケータリング等開始。
2014年よりWEB SITE 『Minimalize+plus』でレシピを公開。
2020年10月、SHOP CHANNELにて自身のウィメンズのブランド・ミニマライズ+プラスをスタート
2023年2月 「髙田賢三と私」を出版。                                                著書を出版後、髙田賢三氏のご功績とお人柄を多くの方に伝える為、又次世代を担う若者及びアーティストの方々に向けて講演活動やラジオ出演をスタート。
WEB SITE Minimalize+Plus https://minimalize-plus.tokyo/
著書『髙田賢三と私』 https://bookpub.jiji.com/smp/book/b621530.html
Minimalize+plus/SHOP CHANNEL https://onl.bz/QeNN3vR
Instagram https://www.instagram.com/yayoi_suzuki_/?hl=ja
FB https://www.facebook.com/yayoi.suzuki.146
X https://x.com/yayoisuzuki
【講演会】
姫路市主催・姫路城世界遺産登録30周年記念事業/公益財団法人神戸ファッション協会主催ファッションスペシャルステージ/名古屋音楽大学ヴォーカルアカデミー2024/たまがわLOOP世界に誇る日本人デザイナー髙田賢三/文化服装学院 世界に誇る日本人デザイナー髙田賢三の偉業/アクリエひめじマダムバタフライ・衣裳に秘めた想い 髙田賢三/実践女子大学・駒沢大学「アタッシェ・ド・プレスの視線」
【ラジオ出演】
渋谷のラジオにゲストに2回出演
https://note.com/shiburadi/n/n7e237019e8be

渋谷ラジオ“ウラハラプロジェクト”第23回”賛同人トーク“』にゲスト出演
https://qr.paps.jp/SDO3M
オンラインラジオ 「渡辺喜子(YoshikoLee)の風」に計3回ゲスト出演
【前編】ファッション界に与えた影響https://stand.fm/episodes/67a5a103cc7911f191c5ec7c
【後編】プライベートについてhttps://stand.fm/episodes/67a5b229b882aa4964b92efe
【特別版】みんなが知らない裏話https://stand.fm/episodes/67aac24d0ecf095805085de0

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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