Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

五感を研ぎ澄ます紳士

第7回 パリの一軒家『五感に溢れた空間』

敷地内外観

 

秋になると、私は世界的デザイナーであった髙田賢三氏との思い出を懐古する。

師として敬愛した彼が旅立った季節でもあり、その鮮やかな記憶がまるで走馬灯のように蘇る。

今回は、賢三氏の研ぎ澄まされた感性を偲びつつ、彼がパリに築いた豪邸の世界をご紹介したい。

パリの11区バスティーユ地区。パリの街並(*)に面する建物の扉を開け更に内部へ進むと、

その外観からは想像できない日本を思わせる空間が突如現れる。

(*)パリの街並みの特徴は、石造りで統一された白を基調とする重厚な建物と建物や道路の設計に関する厳格なルールによって形作られています

 

敷地内玄関

 

賢三氏は、もともと大きな倉庫であった物件を購入し、

帰国できない日々を過ごす際、「まるで日本にいるかのような家」を思い描いたという。

玄関の木戸を開けると、

そこには風にそよぐ竹林、家の内部に入ると空中に広がる日本庭園、池を泳ぐ錦鯉、

そして年に二度花を咲かせる桜が迎えてくれる。

一瞬にして、京都の静寂に迷い込んだかのような感覚に包まれる。

 

和室から見る日本庭園

 

日本庭園/池の錦鯉

 

和室は京都の老舗旅館の風雅を思わせ、茶室や坪庭まで備える本格仕様。

和室と茶室だけで50㎡、庭園は230㎡もの広さを誇り、必要な建材はすべて日本から取り寄せた。

職人たちが日本で一度組み立てたものを解体し、コンテナでパリに輸送。

現地で再度組み直すという、手間を惜しまない壮大なプロジェクトだった。

 

日本間

 

リビングから続く日本間入口

 

和室以外のリビング・寝室や客間なども、東洋と西洋が融合した優美な空間で、

工事途中でも彼のひらめきは次々とアップデートされその空間に反映させる。

 

リビング/サロン

 

欧米や東南アジアからのインスピレーションそして、現代建築からの発想をも盛り込んだ。

リビングには室内プール、広々とした書斎やキッチン、かつてはカラオケルームまで設置。

世界各国の骨董品や美術品に加え、伊万里や古伊万里、有田焼、根来塗など日本の伝統工芸も惜しみなく配置された。

 

リビング/サロンに面する室内プール

 

キッチン

 

延べ床面積は613㎡、日本式で言えば4階建てに相当し、まさに賢三氏の感性の詰まったお城であった。

完成までに7年の歳月を費やしたのも、彼の美意識と溢れるアイデアのゆえである。

 

リビング/サロン

 

くつろぎスペース

 

それらは賢三氏の感性というフィルターを通すことで、国や時代の枠を超え、一つの調和した空間に息づいた。

五感を通じて感じる美は、やがて彼独自の六感にまで昇華される。

その六感こそが、この家をミラクルな空間たらしめていたのだろう。

賢三氏の暮らしぶりから学べることは、私たちも日々の生活の中で五感を研ぎ澄まし感性を働かせることの大切さである。

目で見る、耳で聴く、香りを感じる、触れる、味わう――五感をフルに活かすことで、

私たちの未来の生活はより豊かになるのだと、氏の創造の空間は教えてくれる。

 

※晩年、氏はバスティーユの豪邸を手放し、パリ6区のアパルトマン最上階で過ごした。

   エッフェル塔が夕日に沈む景色を望むその住まいも、

  また一つの美術館のようで、氏は瞬(とき)をその美しい空間の中で静かに刻んだのである。

鈴木 三月 Yayoi Suzuki

東京都出身。 
パリソルボンヌ大学、Institute Catholique大学短期留学後、
パリプレタポルテ・オートクチュール協会日本事務所入社。
その後(株)エルカ入社KENZOのレディースPR担当として働く。
1991年 日本におけるアタッシェ・ドゥ・プレスの先駆けとして(株)パザパを設立。
ヨーロッパのファッションブランド
のPRを主に手掛けるとともに、髙田賢三氏本人からの依頼によりKENZO PARISの日本におけるブランドPR及び髙田賢三氏本人のパーソナルマネージメントをスタート。
又、その後㈱パザパの業務は、ファッションに留まらず、美容・レストラン等衣食住を中心とした業務へと活動の幅を広げる。 
2000年 髙田賢三氏の共同経営者として(株)KENZO TAKADAを日本に設立。 
2011年(株)パザパを、(株)セ・シュエットに社名変更(パザパはPR事業部として存続)。
2013年 調理師免許取得後、フードアドバイザーの仕事をスタート。
各種イベントにおけるケータリング等開始。
2014年よりWEB SITE 『Minimalize+plus』でレシピを公開。
2020年10月、SHOP CHANNELにて自身のウィメンズのブランド・ミニマライズ+プラスをスタート
2023年2月 「髙田賢三と私」を出版。                                                著書を出版後、髙田賢三氏のご功績とお人柄を多くの方に伝える為、又次世代を担う若者及びアーティストの方々に向けて講演活動やラジオ出演をスタート。
WEB SITE Minimalize+Plus https://minimalize-plus.tokyo/
著書『髙田賢三と私』 https://bookpub.jiji.com/smp/book/b621530.html
Minimalize+plus/SHOP CHANNEL https://onl.bz/QeNN3vR
Instagram https://www.instagram.com/yayoi_suzuki_/?hl=ja
FB https://www.facebook.com/yayoi.suzuki.146
X https://x.com/yayoisuzuki
【講演会】
姫路市主催・姫路城世界遺産登録30周年記念事業/公益財団法人神戸ファッション協会主催ファッションスペシャルステージ/名古屋音楽大学ヴォーカルアカデミー2024/たまがわLOOP世界に誇る日本人デザイナー髙田賢三/文化服装学院 世界に誇る日本人デザイナー髙田賢三の偉業/アクリエひめじマダムバタフライ・衣裳に秘めた想い 髙田賢三/実践女子大学・駒沢大学「アタッシェ・ド・プレスの視線」
【ラジオ出演】
渋谷のラジオにゲストに2回出演
https://note.com/shiburadi/n/n7e237019e8be

渋谷ラジオ“ウラハラプロジェクト”第23回”賛同人トーク“』にゲスト出演
https://qr.paps.jp/SDO3M
オンラインラジオ 「渡辺喜子(YoshikoLee)の風」に計3回ゲスト出演
【前編】ファッション界に与えた影響https://stand.fm/episodes/67a5a103cc7911f191c5ec7c
【後編】プライベートについてhttps://stand.fm/episodes/67a5b229b882aa4964b92efe
【特別版】みんなが知らない裏話https://stand.fm/episodes/67aac24d0ecf095805085de0

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

おすすめのたしなみ