Taste of the gentleman

紳士のたしなみ

紳士のたしなみでは、紳士道を追求するにあたり、
是非学びたい気になるテーマについて学んでいきます。

五感を研ぎ澄ます紳士

第8回 Z世代の感性と憧れ―デジタルネイティブ時代―

最近、講演などで若い世代と接する機会が増えた。

そんなある日、学生のひとりから「なんだか宇宙人みたいですね」と言われたことがあった。宇宙人?と少しびっくりしたが、私も若い頃そんな感覚を抱いたことがあり、どこか懐かしい感覚を覚えた。

その言葉の裏には、時代の違いから生まれる未知なものへの興味や憧れが隠れているのだと感じた。

その瞬間私は、三六年前に独立して会社を立ち上げた頃の自分をふと思い出した。

何故なら、その当時私自身が、未知の世界に飛び込む不安と期待で胸が高鳴っていた懐かしい記憶が彼らの想いと重なったからだ。

あの頃は、今のようにスマートフォン一つで何でも解決できる時代ではなかった。まさにアナログな時代。

昔なつかしい地図

 

目的地に行くには、まず地図を広げ、住所を索引で探し、縦軸と横軸の交差をたどって場所を見つけた。

面倒ではあったが、街全体の構造が頭に焼き付き、自分の足で道を切り開く感覚さえあった。

そして電話番号なども電話帳で調べ、よく使う番号は自然と暗記していた。

海外との連絡はテレックスが主流で、やがてFAXやコピー機が導入されると紙の文書が機械を通って遠くの国へ届くことに、

まるで魔法のような驚きを感じた。便利さよりも、手をかけることの面白さを知っていた時代だった。

昭和の黒電話

 

そんな昔話を若者たちにすると、彼らは目を輝かせて聞いてくれる。

今、デジタルネイティブと呼ばれている世代にとってアナログは不便で古くさいと思われがちだが、

彼らは自分たちが知らない世界だからこそ、それは新鮮で、異国や遠い未来の出来事のように見えるのだろう。

だから宇宙人という言葉の表現も理解できる。

昭和のレコード盤

 

最近、若者の間で「レトロ」が注目されているのも、その感性の現れのように思える。

古民家を改装したカフェ、使い捨てカメラ、レコード盤、銭湯のロゴ入りグッズなど、

かつて当たり前だったものが、新しい価値として再評価されている。

レコードは針を落とすまでの一連の動作や、現像を待つ時間さえワクワクし特別な体験として楽しんでいるという。

 

古民家CAFE

 

 

昭和からの銭湯

 

彼らは便利さを否定しているわけではない。むしろその利便性を知ったうえで、あえて不便さを選んでいるのだ。

情報が溢れ、何でも一瞬で手に入る時代だからこそ、手間や時間をかけることの価値を感じ理解している。

不便さは想像力を刺激し、工夫を生み、達成感をもたらす。

その過程で、彼らは自分なりの豊かさや満足感を手に入れている。

便利なものは当たり前になり味気なくなりがちだが、不便なものの中には発想や創意工夫の余地が残されている。

AIや生体認証など、かつては想像もできなかった技術が日常になりつつある。

しかしその一方で、手で触れ、時間をかけて作り上げる喜びや手間をかける価値も再び見直されている。

デジタルとアナログ、効率と非効率、便利と不便。

その両方を理解したうえで、彼らは自分たちなりの調和を見つけ出している。

若者たちと対話するたび、私は古き良き時代を思い出すと同時に新しい感性から大きな刺激を受け取る。

彼らはレトロを単なる懐古趣味としてではなく、自分たちの感性で再解釈し現代の表現に変換している。

その姿は、まさに五感をフル活用した創造行為だ。

目で見て、耳で聞き、手で触れ、匂いや味を感じる。その全体を通して世界を感じ取り、表現することで、感性は磨かれる。

時代が変わっても、好奇心を持ち物事に関心を持ち続け、五感で世界を感じることの大切さは変わらない。

感性を磨くとは、単に知識や情報を増やすことではなく五感で体験し理解し楽しむことなのだと、

若者たちの姿を通してあらためて確信している。

古き良きものを新しい感性で受け止め、自分なりの表現として発信する。

それこそが、五感を研ぎ澄ますことの本質であると、私は強く感じている。

鈴木 三月 Yayoi Suzuki

東京都出身。 
パリソルボンヌ大学、Institute Catholique大学短期留学後、
パリプレタポルテ・オートクチュール協会日本事務所入社。
その後(株)エルカ入社KENZOのレディースPR担当として働く。
1991年 日本におけるアタッシェ・ドゥ・プレスの先駆けとして(株)パザパを設立。
ヨーロッパのファッションブランド
のPRを主に手掛けるとともに、髙田賢三氏本人からの依頼によりKENZO PARISの日本におけるブランドPR及び髙田賢三氏本人のパーソナルマネージメントをスタート。
又、その後㈱パザパの業務は、ファッションに留まらず、美容・レストラン等衣食住を中心とした業務へと活動の幅を広げる。 
2000年 髙田賢三氏の共同経営者として(株)KENZO TAKADAを日本に設立。 
2011年(株)パザパを、(株)セ・シュエットに社名変更(パザパはPR事業部として存続)。
2013年 調理師免許取得後、フードアドバイザーの仕事をスタート。
各種イベントにおけるケータリング等開始。
2014年よりWEB SITE 『Minimalize+plus』でレシピを公開。
2020年10月、SHOP CHANNELにて自身のウィメンズのブランド・ミニマライズ+プラスをスタート
2023年2月 「髙田賢三と私」を出版。                                                著書を出版後、髙田賢三氏のご功績とお人柄を多くの方に伝える為、又次世代を担う若者及びアーティストの方々に向けて講演活動やラジオ出演をスタート。
WEB SITE Minimalize+Plus https://minimalize-plus.tokyo/
著書『髙田賢三と私』 https://bookpub.jiji.com/smp/book/b621530.html
Minimalize+plus/SHOP CHANNEL https://onl.bz/QeNN3vR
Instagram https://www.instagram.com/yayoi_suzuki_/?hl=ja
FB https://www.facebook.com/yayoi.suzuki.146
X https://x.com/yayoisuzuki
【講演会】
姫路市主催・姫路城世界遺産登録30周年記念事業/公益財団法人神戸ファッション協会主催ファッションスペシャルステージ/名古屋音楽大学ヴォーカルアカデミー2024/たまがわLOOP世界に誇る日本人デザイナー髙田賢三/文化服装学院 世界に誇る日本人デザイナー髙田賢三の偉業/アクリエひめじマダムバタフライ・衣裳に秘めた想い 髙田賢三/実践女子大学・駒沢大学「アタッシェ・ド・プレスの視線」
【ラジオ出演】
渋谷のラジオにゲストに2回出演
https://note.com/shiburadi/n/n7e237019e8be

渋谷ラジオ“ウラハラプロジェクト”第23回”賛同人トーク“』にゲスト出演
https://qr.paps.jp/SDO3M
オンラインラジオ 「渡辺喜子(YoshikoLee)の風」に計3回ゲスト出演
【前編】ファッション界に与えた影響https://stand.fm/episodes/67a5a103cc7911f191c5ec7c
【後編】プライベートについてhttps://stand.fm/episodes/67a5b229b882aa4964b92efe
【特別版】みんなが知らない裏話https://stand.fm/episodes/67aac24d0ecf095805085de0

ダンディズムとは

古き良き伝統を守りながら変革を求めるのは、簡単なことではありません。しかし私たちには、ひとつひとつ積み重ねてきた経験があります。
試行錯誤の末に、本物と出会い、見極め、味わい尽くす。そうした経験を重ねることで私たちは成長し、本物の品格とその価値を知ります。そして、伝統の中にこそ変革の種が隠されていることを、私達の経験が教えてくれます。
だから過去の歴史や伝統に思いを馳せ、その意味を理解した上で、新たな試みにチャレンジ。決して止まることのない探究心と向上心を持って、さらに上のステージを目指します。その姿勢こそが、ダンディズムではないでしょうか。

もちろん紳士なら、誰しも自分なりのダンディズムを心に秘めているでしょう。それを「粋の精神」と呼ぶかもしれません。あるいは、「武士道」と考える人もいます。さらに、「優しさ」、「傾奇者の心意気」など、その表現は十人十色です。

現代のダンディを完全解説 | 服装から振る舞いまで

1950年に創刊した、日本で最も歴史のある男性ファッション・ライフスタイル誌『男子専科』の使命として、多様に姿を変えるその精神を、私たちはこれからも追求し続け、世代を越えて受け継いでいく日本のダンディズム精神を、読者の皆さんと創り上げていきます。

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